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だから、言わんこっちゃない ~EEIE Editor's VOICE~

12.09.26

島本・大山崎の地で、秋の夜長にもの想ふ。

9月も中旬になり、残暑厳しかった今年の夏も終わり、季節はもう秋。
休日に近所を散歩していると、田んぼには稲穂が秋風に揺れ、その上を赤とんぼが飛び、夏の真っ盛りのうるさい蝉の鳴き声の代わりに聞こえるのは鈴虫の鳴き声だったり...。

毎日、猛暑日が続いた真夏には「早く秋にならないかなぁ」と思っていたものですが、秋になればなったで、夏の楽しい想い出を反芻したりと、季節の移り変わりは私たちに色んな感慨を運んできてくれます。

天王山に源を発する約20mの水無瀬の滝は、我が家から歩いて2~3分。「水無瀬山せきいれし滝の秋の月 おもひ出ずるも涙なりけり」と藤原家隆の和歌にも詠まれた名勝です。

私事ですが、春に大阪と京都の境の島本町に家を新築して引っ越してから半年が経ちました。
毎日、JRの山崎駅から通勤しています。

この島本町と大山崎の地の魅力はこちらでも紹介していますが、天王山の麓で、桂川、宇治川、木津川の3本の河が淀川へと合流する豊かな自然に囲まれた地です。
この地は名水でも知られ、山崎駅前の離宮八幡宮にはかつて"石清水"の名の元となった湧き水があったり、同じく山崎駅前の妙喜庵には千利休の現存する2例の茶室作例の一つである茶室待庵(国宝)が現存しています。
その名水を使ってウイスキーを作るサントリー山崎蒸溜所も駅のすぐ側です。
3本の河が合流する交通の要所であることから歴史的にも要所要所で登場し、豊臣秀吉が明智光秀を破った山崎の戦いはこの地の天王山の山麓で行われたことから、勝負の分かれ目のことを"天王山を迎える"と呼ぶ成句が生まれました。

また、クロード・モネやモディリアーニの絵画や、河井寛次郎やバーナード・リーチなどの日本民藝運動の作家の作品を所有するアサヒビール大山崎山荘美術館もあります。

我が家から歩いてすぐの処には、かつて後鳥羽上皇も行幸され、古来より広く知られた名勝の水無瀬の滝があり、滝の傍らには竜神様が祀られています。休日にはこの水無瀬の滝や水無瀬神宮、大宝元年(701年)に勧請された古寺、若山神社にお参りしつつ、散歩しています。

大山崎音頭の盆踊りの様子。中央は大山崎町商工会のゆるキャラ蘭の妖精、「ラランちゃん」。

梅田から電車で30分程度と交通至便でありながら、自然に囲まれ、歴史や文化に培われたこの地は、近隣の高槻市のような郊外都市とは違うのんびりした空気感が漂い、地元の方々もどこかゆったりのんびりとしていらっしゃいます。

夏の終わりの8月23日(木)~25日(土)には山崎駅前の離宮八幡宮で、"ゆるりとつなぐひととき"と題して「アートフェスタ in 大山崎町2012」が行われました。
離宮八幡宮は石清水八幡宮の元社にあたる神社で、日本における製油の発祥の地として栄えた処です。この「アートフェスタ in 大山崎町」は毎年、地元の有志と京都造形芸術大学の学生たちにより企画・運営される街おこしイベントで、今年で6年目を迎えました。

離宮八幡宮の境内のライトアップの様子。竹の上に蓮の葉のカタチに切った紙が並べられ、そこに灯りがともされています。

期間中、離宮八幡宮の境内でライブやアート展示と、最終日には大山崎音頭による盆踊りが行われ、境内がライトアップされて幻想的な灯りに包まれました。
こうした催事からも、地元に暮らす方々がこの地を愛していることが感じられました。

また毎月十日には、山崎駅前のかつて離宮八幡宮の池があった広場で、「山崎十日市」が行われ、地元の雑貨屋さんの手作りの雑貨やお菓子屋さんのスイーツ、地元の農家さんの新鮮な有機野菜などが並びます。こちらも平日の昼間にもかかわらず、地元や近隣から多くの方が集まって、お店の方とのんびりお話ししながらお買いものを楽しんでいらっしゃいます。
この地ののんびりとした空気感そのものの、魅力的な品々と素敵な人に出会える、そんな地元に根差したマーケットです。

毎月十日に行われる「山崎十日市」。いろんな品々を見たり、食べたり、お店の方と話したり、のんびりアットホームな雰囲気です。

そんな催事に足を運んだり、週末に散歩しつつ自然に親しんだりしていると、この地に対する愛情が深まっていくのを自分でも感じるとともに、本当の豊かさってお金のあるなしじゃないなぁと痛感します。
昨年の大震災の後も、政治家や役人、財界人たちは相変わらず経済成長の必然性を声高に唱え続けていますが、世界的にも類を見ない少子高齢化がこれからも進行していくだろうこの国で、高度成長期のような経済成長はどう考えても無理筋な話。逆に国内市場が縮小していくことが必然ならば、その中でいかに楽しく幸せに暮らせるか、お金をかけなくても楽しく暮らす、そんな知恵をみんなで出し合うしかないんじゃないでしょうか。
お金のあるなしとは別の豊かさを創り出す。
これからのこの国に必要なのは、そんな知恵と勇気と作為なんじゃないかなぁ、とこの地に暮らすようになって、しみじみと感じています。

そんなふうに考えるようになったのも、この地と出合って、この地に暮らすようになったから。
いろんな人間がいて、いろんな価値観があって、人様々だけど、私という一人の人間も移ろいゆく時間とともにいろんな価値観が生まれて消えて、昨日の自分と今日の自分は違っていて、同じ自分ではありえないわけで...。
意識的であろうと無意識であろうと、そうして私の個人史、私の物語は創られていくわけで...。
この地での出会いで、これから私と家族のどんな物語が紡がれていくのか。とりあえずは、楽しく幸せに暮らしていければ。
そんなことを考えた、秋の夜長でした。

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エルマガジン社/EEIE エディターズ 「快適できれいなくらし」の姿を追い求め、日々、取材や編集に明け暮れるエルマガジン社EEIEエディターチーム。三者三様なパーソナリティを全開に、仕事漬けの毎日で、自らの家庭での暮らしは「快適できれい」とは正反対のところが悩みの種…。
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