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だから、言わんこっちゃない ~EEIE Editor's VOICE~

12.06.27

家によって、私たちは生かされている。 かろうじて人生は存続している。

梅雨空が続きますが、もう少しでいよいよ夏本番。
今年の夏はまた暑くなりそうですが、節電にも気を配りながらも、どうせならばせっかくの夏を思いっきり楽しみたいものです。

さて、私事ですが、1年前から進めていた新居が春に完成し、新学期を前にお引っ越し。 引っ越しのお片付けが終わった後には、カーポートやルーフバルコニー、ウッドデッキを施工したり、裏庭を家庭菜園にしたり、ガーデニングも始めたり...、と当初考えていたことを実現すべく、あれやこれやとやっておりましたが、ようやくカタチになってきました。

子ども達がこの家で育って、いずれ大人になった時には、ここが故郷になるんでしょうね。

新居を建てたのは、大阪の島本町。隣りは京都府の大山崎町で、大阪と京都のちょうど境。古来より、摂津国(現在の大阪府)と山城国(現在の京都府)の国境であった天王山の麓に位置します。この島本や大山崎の魅力についてはこちらもご覧ください。

家のすぐ裏を名神高速が通っていて、大阪から名神で京都に向かったときに天王山トンネルに入るすぐ手前付近になります。

2013年で創設90周年を迎える、"日本のウイスキーの故郷"サントリー山崎蒸溜所。

最寄りの駅はJRの山崎駅。毎日、駅近くの"日本のウイスキーの故郷"サントリー山崎蒸溜所の前を通って、通勤しています。

夜な夜な酒場をうろちょろしている習性もあり、「さすがお前は酒に引かれるんやのう」と周りからは冷やかされますが、蒸溜所があることでも分かるように、この辺りは水が美味しいことでも知られており、歩いて10数分のところにある水無瀬神宮の「名水百選」にも選ばれた『離宮の水』と同じ水源の地下水を水道水の水源としているので水が美味しい!
この水脈で作られたウイスキーを同じこの地の水で割った水割りはもう最高です! ...って、勝手に熱くなってしまいましたが、すみません、お家の話でしたよね。

水無瀬神宮の『離宮の水』。こうしてご近所の方々や遠方からはるばる水を汲みに来る方がたくさんいらっしゃいます。

不思議なもので、新居から通うようになって、あんなに夜な夜な酒場を渡り歩いていた毎日も、週に1日2日も酒場に行けばめずらしいぐらいに、毎日、家にまっすぐ帰るように。
休みの日には、デッキやリビングに置く植物を求めてあちこちグリーンショップに行ったり、ガーデニングに夢中になったり、子ども達も一緒になって裏庭の土を掘り返して家庭菜園作りをしたり...。休みの日は昼まで寝て、起き出してはテレビを見ながらお酒を飲んで...だった前までの生活が嘘のように。

ここが終の住み処となるのか、まだ未来は分かりませんが、とりあえずあと24年は住宅ローンが残っているので、その間はくたばるわけにはいかん!ということで、この歳になって初めて健康にも気を遣いだして、週末はお酒を控えて、ジョギングやウォーキングで身体を動かして。そんなかいもあって、新居に引っ越してから3カ月足らずで3キロほど痩せて、健康診断の結果も良好に。

人間って、やっぱり環境によって作られるんだなあ、と実感しております。

第141回の芥川賞受賞作である、磯崎憲一郎氏の『終の住処』(新潮社、2009年)の中で、 30歳過ぎで結婚して、子どもが産まれてから11年間、妻と口をきかなかった男が突然に家を建てることを決断。妻が老人の建築家に家造りを全てまかせるんですが、この老建築家がなかなか魅力的な人物でして、彼が主人公やその妻に言う言葉が、
「家というのは元々が人間よりはるかに寿命が長いものなのです。だから人間が家を建てようなどという傲慢を抱いてはいけない。家によって、ある定められた期間、そこに住む人間が生かされているのですから」

春に植えたガーデニングの花々も満開です。ガーデニングや菜園に関する本もたくさん読んで日々、勉強です。

実際に自分で家を建ててみて、この言葉がリアリティを持って迫ってくるようになりました。確かに、住んでいる家によって、その土地によって、私たちは生かされているのかもしれませんね。

この『終の住処』の本の帯には、次のように書かれています。
「とうてい重要とは思えないようなもの、無いなら無いにこしたことはないものたちによって、かろうじて人生は存続しているのだった。それらいっさいが、懐かしかった」

そう、日々の微細なあれこれや、時には煩わしくもある物事。
家も仕事も人間関係も、プライベートな時間のあれこれも...。
それらによってかろうじてこうして生き続けていける。その恵みのありがたさ。流れ過ぎ去っていく時間そのものが人生なんでしょうね。
出来上がったばかりの家のデッキでウイスキーの水割りを飲みながら、そんなことを考えた、週末の夜でした。

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エルマガジン社/EEIE エディターズ 「快適できれいなくらし」の姿を追い求め、日々、取材や編集に明け暮れるエルマガジン社EEIEエディターチーム。三者三様なパーソナリティを全開に、仕事漬けの毎日で、自らの家庭での暮らしは「快適できれい」とは正反対のところが悩みの種…。
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