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だから、言わんこっちゃない ~EEIE Editor's VOICE~

10.11.24

今日も街は無数の"つぶやき"で溢れている。

10月の初めまで厳しい暑さが続いた今年も、10月の終わりには急に冷え込んで、朝夕はもう暖房を付けないと寒いぐらいになりました。
木々もあっという間に紅く色づいて、今年は何だか1〜2ヵ月、短かったような気がします。 だからか、秋から冬の訪れが、例年以上に寂しくも感じます。

そんな肌寒い11月某日、VOICEの連載「grafが近畿2府4県を旅して考える、きれいなくらし。」では、京都市内で伝統的な京町屋を保存しつつ一般に公開してくらしていらっしゃる方や、元は銀行だった日本の近代建築の叡知を集めた建築物を壊すことなく内装をリノベーションしたダイニング&スパなどを訪ねました。京都という歴史と文化を脈々と守り続ける街で、この街独自の建築や景観、文化を受け継いでいこうとしている方々は、京都の街に対する愛着に溢れていて、またこの街のくらしを次世代にも送り渡そうという強い意志が感じられて、背筋の通った凜としたものがありました。
その内容については、来月公開のVOICEをご期待いただくとして...。

その取材の後、取材クルーとちょっと身体を温めて帰ろうってことで、さくっと飲みに行くことに。まずは、『ミーツ・リージョナル』でお馴染みの錦市場の漬け物屋の店主にして、唯一無二の"酒場ライター"のバッキー井上さんも行きつけの新京極商店街の昭和酒場[スタンド]に。

ハムカツや肝やきをアテに、瓶ビールのお酌の繰り返しから、お品書きにあった「米(まい)ボール」(ようするに日本酒のソーダ割りですね)を頼んだら、意外な美味しさにグラスが空く空く。3杯4杯と重ねるうちに、ギアはローからいきなりフルスロットルに。

若いカップルが向かい合った妙齢のおじいさんを相手に何やら相談しているのを眼のハシに見つつ、ちょっと身体を温めてな目的はとうにどっかに忘れ去り、久々の京都の夜にずっぽり。

  • 下京区太子山町の[秦家住宅]。江戸末期に消失後、1869年に再建。築141年の元は薬剤商を営んでいた表屋造りの町屋は、店舗棟と住居棟、土蔵を2つの庭が繋いでいる。
  • 中京区手洗水町の[flowing KARASUMA]。以前は銀行だった大正時代の近代建築を、建物はそのままにgrafが内装をリノベーション。

[スタンド]を出た後は案の定、「もう1軒行こか」となって、次はこれまたバッキー井上さんの行きつけの酒場[たつみ]に。

日本酒のぬる燗の瓶徳利を手に、アテも頼まずにお猪口の上げ下げを繰り返していると、隣りで飲んでいたおっさんが話しかけてきて意気投合。おっさんにぬる燗をお酌してはおっさんもお猪口の酒を一気に流し込み、こっちもご返杯の冷や酒を一気に流し込みしているうちに、わずか30分で空いた徳利が5つも6つも。そのうちに、「あ〜こんな風に京都の街で飲むのも、もうしばらくないやろうし...。それやったら今夜はとことん、京都の街で飲むぞ!」と訳の分からん無理矢理な屁理屈で自分を奮い立たせて、立ち飲みで隣り合ったばかりのおっさんに「今夜は奢りますから、飲みにいきましょう!」って肩を組んで、あっけに取られて立ち尽くす仲間を尻目に、おじさんと2人、夜の街に。

結局その後は、おっさんの行きつけのカラオケスナック(おっさんはガールズバーやって言ってたんやけど、どうみてもちょっと派手めなカラオケスナックでした...)に連れて行かれて、おっさんのジュリーメドレーを聞きながら、やんややんやの喝采を送ってるうちに、時計を見ると終電の時間で、まだまだ歌い続けるおっさんに「終電なんで帰ります。また飲みましょうね!」って握手して、支払いを済ませて駅まで猛ダッシュ。何とか終電に飛び乗って帰りました。

翌朝起きて空っぽになった財布を恨めしくのぞきながら、「何やったんや、昨日の夜は」ってため息ついても後の始末。なくなったお金が返ってくるわけもなく...。

笑って、泣いて、愛して、憎んで、出会って、別れて、でもまだ忘れられなくて...、そんな人生の有象無象をアテに、京都の街と戯れた、そんなとびきり(?)な一夜でした。

ぬる燗で、偶然隣り合ったおっさん(真ん中)と意気投合、超ご機嫌なこの有様。お名前も何もお聞きしませんでしたが、なぜかまた京都で杯を交わせそうな予感が。

最近、飲み屋で、せっかく飲みに来ているのに、お互いにしゃべりもせずに携帯に視線を落としている人たちをよく見かけます。相変わらず人気のTwitterで何かしらつぶやいているのかもしれないけど、携帯相手につぶやくよりも、街で、もっと言うなら立ち飲み屋のカウンターで、隣り合ったおっさん相手につぶやく方が断然面白いし、街は今日も扉を開けて、そんな台本なしの素敵な時間を用意してくれている。そして、街はそんなあれやこれやの無数のつぶやきで動いている。

だから財布の中身は乏しかろうと、二日酔いで身体が重たかろうと、街の扉を開ければ、今日も明日も生きていける。どうもありがとう!

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エルマガジン社/EEIE エディターズ 「快適できれいなくらし」の姿を追い求め、日々、取材や編集に明け暮れるエルマガジン社EEIEエディターチーム。三者三様なパーソナリティを全開に、仕事漬けの毎日で、自らの家庭での暮らしは「快適できれい」とは正反対のところが悩みの種…。
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