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VOICE

grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

11.03.31

Chapter.2 2年間の連載を振り返りつつ、湖北の郷土料理と銘酒で大宴会。

ここでgrafのスタッフと姫路から池島さんも合流。 人数がさらに増え、おそばでお腹もいっぱいになったところで、次は身体を動かしましょう、とばかりに続いて前田さんが案内してくれたのは、滋賀県と福井県のちょうど県境の栃ノ木峠にある『水源の碑』。何の水源かというと、瀬田川、宇治川と名前を変え、滋賀から京都を通り、大阪湾に流れる淀川の水源で、ここは余呉町に流れる高時川の最上流付近です。

前田さんは、農業以外にも、"花見カヌー"や"余呉トレイル"などアウトドアの企画やガイドもしています。今回は雪の上を楽に歩けるスノーシューを履いて、『水源の碑』がある栃ノ木峠へ。この小さな峠がかかる山の稜線は分水嶺(ぶんすいれい)になっていて、この稜線を挟んで、福井県側に積もった雪の雪解け水はやがて日本海に、滋賀県側に積もった雪は琵琶湖から淀川を経て、やがて瀬戸内海へと流れるそうです。

余呉町は日本最南端かつ近畿以西では唯一の特別豪雪地帯に指定されている町。『水源の碑』がある国道365号線は福井方面に抜ける道ですが、冬は雪で通行止め。その雪で埋もれている道をスノーシューで散策しました。

雪は少し固くなっていて、歩くとフカフカではなく、サクサクという感触。道路標識が足もとにあるということは、2メートル以上は積もっているのでしょう。そんな訳で、『水源の碑』も雪に埋もれて見つかりませんでしたが、栃ノ木峠を渡って福井県側に歩いて行き、1時間ほどスノーシューで雪上散歩を楽しみました。

  • この雪の下に『淀川の源』と記された石碑が。水源とは、高時川の起点のことを指していて、高時川は姉川と合流して琵琶湖に注いで、やがて淀川に流れます。
  • 福井県と滋賀県の県境に跨る栃ノ木峠に架かる橋をスノーシューを履いて渡っていきます。気分はさながら、八甲田山の雪中行軍!

その後は夜の大宴会に向けて準備がスタート。grafのスタッフとこの連載で以前に訪ねた[フローイング カラスマ]の平間さんも合流しました。食材を買いに行ったり、料理の準備をしたり。近くの山で猟師さんが撃ったばかりという鹿の肉を解体するところも見学させてもらいました。

今回お借りした宴会の会場は同じく余呉町にある[余呉小劇場弥吉]。江戸時代に建造された築250年と言われる古民家です。周囲の自然に囲まれた環境の中、古民家ならではの設備の使いにくさや煩わしい部分などはあえて残し、「古民家ならではの魅力を感じてもらいながら、多くの人との交わりができたら...」と家主の東野さんが2005年にオープン。もちろんこのままでは使える状態ではなかったので、できる限り原型を蘇らせるよう、地元の工務店の協力を得て復活させました。今まで演劇やコンサート、またアートなどの展示やワークショップなどの会場として活用され、県外からも多くの人が訪れています。台所もあるので、今回はそこをお借りして自分たちで料理をし、この連載の打ち上げともいえる最後の宴会をすることにしました。

家倉さんのお母様とお知り合いの地元の方々にも余呉の郷土料理を用意して頂きました。そのメニューは

・焼き鯖そうめん
・ネギとイカのヌタ
・かき揚げ
・白菜のたたみ漬け

  • 福井県側から栃ノ木峠を跨いで滋賀県側を眺めて。栃ノ木峠という名の由来は峠付近に栃の大木があったからと言われており、古代から北国街道の難所として知られていました。
  • スノーシューを立てて、はいポーズ! 後ろには福井県の南越前の山並みが続いています。

焼き鯖そうめんは、長浜の郷土料理。長浜には、農家へ嫁いだ娘に母から焼き鯖を届ける「五月見舞い」という風習があり、その焼き鯖と一緒にそうめんを焚いた料理です。日常のおかずというよりも、ハレの日やお客さんが来た時に食べる料理だとか。

そして川西さんと堀田さんが中心となって作られたgrafのメニューは、
・鹿の肉を使ったもも肉のカツ、照り焼き、炙り焼き
・ぼたん鍋
・とりやさい鍋

ぼたん鍋には家倉さんのお家の自家製味噌を使いました。とりやさい鍋は、長浜市高月町にある[びわこ食堂]の「とりやさいみそ」を使った近江名物の鍋です。

この連載の取材で訪ねた、湖西の高島市の[近江手作り和ろうそく 大與]の大西さん[konefa コネファ(湖北ニューファーマーズ)]の中島さんも合流し、総勢17人。料理もずらりと並べられ、準備ができたところで乾杯です。お酒はもちろん[冨田酒造]の七本槍。

「この連載で色々とお世話になりまして、2年間本当にありがとうございました! 乾杯!!」

  • 江戸時代に建てられた築250年の古民家を改築して、演劇やコンサート、アート展示やワークショップなどの会場として活用されている[余呉小劇場弥吉]。
  • 近くの山で猟師さんが撃ってきたばかりの鹿の解体に立ち会い、堀田さんも鹿の解体を経験。「私たちは本当は沢山の命を頂いて生きている事を再認識することができました」

ここ滋賀の湖北から始まったこの『grafが近畿2府4県を旅して考える、きれいなくらし。』は、四季折々の季節を感じながら、近畿2府4県の様々な場所を巡り、いろんな人との出会いを重ねてきました。その地域独特の、いろんな職業をされている方のいろんなくらしのカタチがあり、大阪という都会でくらす私たちにとっては驚きや感動の連続でした。あの時はああだった、この場所ではこんなだった、と各地での想い出話は尽きることはなく...。始まりの地、湖北での大宴会は、おいしい料理にお腹もいっぱい、それに想い出で胸もいっぱいの夜となりました。

  • 焼き鯖そうめん。農家へ嫁いだ娘に母から焼き鯖を届ける「五月見舞い」という長浜の風習があり、その焼き鯖と一緒にそうめんを焚いた料理。
  • こちらは家倉さんのお母さんお手製の白菜のたたみ漬け。この連載で家倉さんのお家を訪ねた際にも頂きました。vol010chapter1
家倉さんのお家からの差し入れの熟鮨(なれずし)。この発酵食品は滋賀の名産品です。日本酒との愛称も抜群で、酒が進む進む。
これはボタン鍋。地元で獲れたイノシシの肉を、家倉さんのお家の自家製の味噌で煮込みました。
堀田さんと服部さんが手伝って解体した鹿肉をカツレツに。軟らかくて肉の旨味が充満していて美味しかったです。
素敵な仲間たちと美味しい郷土料理、そして最高な引き立て役は、もちろん湖北の銘酒、[冨田酒造]の「七本槍」です。
取材でお訪ねしたゲストの方々や地元の冨田さんや家倉さん、立見さん、中島さんたちも参加頂いて、この連載の打ち上げの大宴会の始まりです。
家倉さんが[フローイングカラスマ]の平間さんにお酌。何だかとてもうれしそうです...(笑)

余呉小劇場弥吉

長浜市余呉町坂口561
TEL/0749-86-3249
http://www.yakichi.com

取材・文/天見真里子

楽しい大宴会もお開き、ということで、最後でみんなで、はいポーズ! 自分の生活している街や村の環境や風土、その地のコミュニティときちんと向き合い、様々なくらしのカタチを教えてくれた皆さんにこうして出会えたことが、2年間続いたこの連載の、何よりの収穫です! 皆さん、本当にありがとうございました(礼)




grafからのメッセージ


川西万里さん(企画、[graf salon]担当)

私が初めて滋賀・湖北の木之本を訪れたのは、2003年の夏でした。 それからもう、かれこれ8年。

お茶の仕事をしている滋賀出身の友人に連れられて、木之本の[冨田酒造]の冨田泰伸さんを訪ねたのがきっかけとなり、それ以来、20回前後、湖北を訪れています。

湖北は全く知らなかった土地で、そこはだいぶん寂しい町並み。
けれどもそこで、[冨田酒造]をはじめ、お醤油屋さん和菓子屋さん、和楽器の糸の製造業など、長い歴史の中、今も伝統を守りつつ家業を受け継いでいらっしゃる冨田さんと同級生の方々の仕事やくらしを知りました。
そんな冨田さんたちとの出会いから、grafで利き酒会を企画したりもして、 何度も湖北を訪れる度に、様々な人との出会いやいろんな発見がありました。

今までは何にも知らなかった縁のない土地も、そこでくらす人々と出会えた時から、 皆さんのくらしのカタチや仕事が見えてくることが、とても楽しみになりました。
大阪のみんなにも、「こんな町があって、こんな人がいて、こんな事してはってすごいねん!」って伝えたかった気持ちが、この連載企画のおかげでカタチになり、EEIEで紹介させて頂くことができました。
2年間、近畿2府4県を旅して、たくさんの方と出会い、毎回、感心感動の繰り返しでした。
みんな素晴らしい人達でした。
けれども仕事の仕方やくらし方は、それぞれのこと。
私も、私らしく仕事をし、どうくらしていきたいのかを良く考えるようになりました。

この連載のおかげで、私は「人って魅力的やな」と、つくづく思うようになりました。
これからも、人と人が繋がって、言葉を交わし、仕事したり、ご飯食べたり、何かをおこす事を大切にしたいと思います。

そしてこれからも、出会いの旅は続けます。
この連載を通じて知り合った皆さんと、また会えるのを楽しみに。
ありがとうございました。


荒西浩人さん(graf家具職人)

この連載では、仕事とくらしについて考える取材に関わらせていただいたのですが、 僕としては取材を通じてお会いした方々から、人はどうくらして(生きて)人とモノとが調和していかなければならないかとか...、たくさん学び、生き方そのものについて考えさせられた取材であったと実感しています。

僕が同行した取材の中で一番印象に残ったのは、第12回の丹後の伊根地方のくらしぶり
日本海のあの土地で、冬場は過酷な自然形態をも吹き飛ばすくらいの家族愛や兄弟愛、 それに親子愛にふれたとき、"いいもの"ってのは根本から愛情が注がれていることが、 単純に"おいしい"とか、"楽しい""素晴らしい"に繋がっていくんだなって思いました。もちろん商品として売れるものにも繋がります。
"当たり前に"ちゃんとやることが全てにおいて人を魅了するんだな、と感じましたし、 忘れかけていた何かを取り戻してくれた取材でした。

その他、たくさんの農家さんやモノづくりに携わっていらっしゃる方々の、一言一言の重みを感じながら、自分の生活スタイルに取り込んでいきたいと思っております。

そう考えているうちに、僕も家族とともに、少し不便ですが環境のよい所に引っ越そうと思うようになって...。そんな影響まで与えられた取材でした。

2年間、ご支援ご愛読ありがとうございました。


服部智樹さん(graf家具職人)

最終回で訪ねた滋賀県の余呉は、この連載の初回でも訪れた場所でもありましたけど、なかなか印象に残る体験がありました。ワカサギ釣りもスノーシューを付けての雪山歩きも、余呉の冬を楽しんだ気がします。

その中で最も印象に残ったのは(本章では紹介していませんが)、鹿の解体を体験したことです。大阪の町に住んでいると野生の鹿を見る事もないし...。皮を剥ぎ、部位にわけて調理して食す。すごくシンプルでだけど、今の都会での生活からは凄く遠い世界ですね、社会的にも。
何ででしょう? 命を奪ってかわいそうだから?
家畜もそうですけど、奪った命を慈しみながら動物を食べるという事を、もっとみんな体験したり見学したりして、感じる事が凄く大事だと思いました。
今回は解体だけだったので、今度はぜひ狩りに参加したいです。

今回の取材で解体した鹿肉は、取材から返ってきてからビーフジャーキーにしてもらって、美味しく頂きました。
この連載では、2年間、本当にいろんな体験をさせてもらって、ありがとうございました。


堀田裕介さん(料理研究家、元[graf dining:fudo]シェフ)

2年間続いたこの連載の最終回の取材は、第1回目で訪れた滋賀県の余呉で締めくくる事となり、余呉でのくらしを体験する取材となりました。

僕はその1回目の取材に参加出来なかったので、余呉は始めてでしたが...。

今回の取材はワカサギ釣り、そば打ち体験、スノーシューでの雪山歩き、鹿の解体など、生きる術が詰まった内容となりました。

その中でも特に印象に残ったのは(本章では紹介していませんが)、鹿の解体を体験出来た事です。
今回の取材は僕の活動コンセプトである、「食べることは生きること、生きることはくらすこと」にぴったりな内容で、飲食人としてもこの様な現場に立ち会えた事はとても有意義な事でした。
生命の現場はとてもリアルで、生と死が隣り合わせでした。

都会でのくらしはリアリティがなく、何も考えなくても、とりあえずくらす事は出来ます。しかし私たちは本当は沢山の命を頂いて生きている、という事を改めて見つめ直すことが出来ました。

2年間のこの連載で得た経験は、僕の中でこれからも大きな存在になることに違いありません。取材を通じて同世代の農家やモノづくりに携わる様々な人と出会い、たくさんの発見や繋がりを持つことが出来ました。

本当に価値のあることは何なのか? これからも大事にしていかないといけない事は何なのか? という事が見えてきた気がします。

都会では見えなくなってしまった真実を受け止め、見て、感じて、僕なりの解釈で「食」というテーマに一生立ち向かっていきたいと思います。

2年間、ありがとうございました!


田中文代さん(企画・経理担当)

私がこの連載 に参加させていただいたのは、湖北湖西姫路淡路島、そして今回の余呉の計5回。 どの回もとても内容の濃い〜取材で、毎回帰りには、自分の今の生活と何がどう違うのか? あれこれ考えさせられていたように思います。

いつかは、都会から少し距離をおいて生活するということを想いながら、今、都会でくらしている私にとって、この連載の取材は、今後のくらし方にとても良い影響を与えていくだろうと思っています。

今の自分に出来ることを丁寧に続けていくことが、自分や周りの人達の将来に繋がるんだなぁと思っています。


増地孝泰さん(graf 営業企画担当)

今回の湖北を巡った最終回は、途中参加でしたが、まさに鹿を解体、そして食べるという行為自体が強烈な体験でした。

テレビなどで、猟師さんが捕らえた動物を食べてその命を成仏させることは、その命に対しての畏敬の念が現れているということが取り上げられたりしますが、まさにそういう体験をさせて頂いたという印象です。

もちろん、今回の体験では冨田さんところのお酒であったり、konefaの皆さんや家倉さんのところのお米であったり、家倉さんのお母様にご用意頂いた手料理にしてもしかりだと思います。

2年間のこの連載の取材は、まさにそういった作り手と受け手のキャッチボールがとっても重要だということを、改めて感じさせるものだったように思います。

キャッチボールと表現したのは、簡単に受け取れる球もあれば少々受け取りにくい難しい球もあったり、ワンバウンドしたものもあったかもしれません。
でもそこで簡単に受け取れなくても、後になって「ああ、あれはこういうことを言ってたんやな」って振り返った時に合点がいく、そんな企画だったように思います。

ありがたいことに、受け手側の一員としてこの企画に関われたことは最高の財産だと思っていますし、この連載を通じてお世話になった方々とは、間違いなくこれからも関わり合いが続いていくと思います。

皆さん、これからもよろしくお願い致します。そして、心よりありがとうございました!!

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