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grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

10.11.17

Chapter.2 淡路島に根差した、新しい農業へのチャレンジ。

この連載では何度も農業に携わる人たちを取材してきました。滋賀の稲作農家・家倉さんや京都の野菜農家[ense]の小泉さん、池島さんにナビゲートして頂いた回では姫路の伝統野菜の農家さんを訪ねました。
しかし、今回は個別の農家さんじゃなくて、訪ねたのは[パソナチャレンジファーム]。その名の通り、運営はあの人材サービス会社の[パソナグループ]です。
これは[パソナグループ]が2003年から農業分野で雇用を生んでいこうと始めたプロジェクトの1つで、この淡路島のプロジェクトは、本格的に就農や、農業分野で起業したい人材を支援する農業ベンチャー支援制度。現地の人たちと協力しつつ、参加者が最長で3年間、農業に従事しながら、得意分野を生かした独立就農を目指しています。

アスパラに対する情熱と愛情が言葉の端々から伝わってくる塩道波美恵さん。はつらつとして気持ちのいい女性です。

淡路の[パソナチャレンジファーム in 淡路]がこのプロジェクトの第1弾で、2008年からスタートし、現在メンバーは、チャレンジファームが6名、他に研修生やスタッフを含めると24名にも。「それぞれのメンバーが、過去の経験を生かした農業であったり、農業分野の仕事を創り上げていく。例えばゴールを決めて、そのゴールから自分の仕事を創り上げていくようなイメージ」と、運営責任者の紙上さん。

まず紹介していただいたのは、ガラス温室(アスパラ栽培では非常に珍しい)でアスパラを栽培している塩道波美恵さん。もともと植物関係の仕事に10年ほど携わっていた経験があり、この夏から温室を借りてアスパラ栽培をスタートしたばかり。

「どうしてアスパラを選んだんですか?」

塩道さん「アスパラは軽いので、女性や年配の方でも収穫作業が楽なんです。それと鮮度が落ちやすい野菜なんですが、神戸や大阪に販路を築いて採れたてをお届けすることで、外国産との競合にならず差別化を図れると思います。今までは北海道や長野の春採りの露地栽培が主流だったけれど、ガラス温室では新しい栽培方法が築かれてきていて、勉強すればするほどおもしろい栽培ができるのかな、と。それで、今は定植から半年で収穫できるという栽培法にチャレンジしています。真冬を除けば、1年中ずっと採れるようなアスパラを栽培しています」

「以前はどんな植物のお仕事をされていたんですか?」

塩道さん「切り花から栽培までいろいろやっていました。でも結局、植物の根っこが好きなんでやっぱり栽培かな、と。以前は[淡路夢舞台]の植物館で働いていました」

「僕も根っこが好きなんです。アスパラだったらかつての植物の感覚に近いですね」

塩道さん「そうなんですよ! もともと1年ものの野菜よりも、多年草、つまり1回植え付けたら長期的に採れる野菜に興味があったので。

  • 塩道さんのアスパラの温室。極め細やかにきちんと手入れされていて、アスパラの緑が鮮やかです。
  • アスパラは鮮度が大切な野菜だけに、日頃の世話がとても大切です。

多年草は今だけの反応じゃなくて、長期的に結果が返ってきます。だから愛着が湧くし、おもしろいです。アスパラの温室栽培は、細かい部分の技術が全く公にならないんです。だから農家にもすごい差があって...。私は植物栽培という経験があるから、そこがまた腕の見せどころになればいいなと思っています」

「すごい考えてますね!」

池島さん「僕も姫路で農業やってるんですが、すごく参考になります」

塩道さん「あ、そうなんですね。何を作っていらっしゃるんですか?」

池島さん「えび芋などの伝統野菜です。地元の方と一緒に」

塩道さん「えび芋は栽培が難しそうですね。私も地元の方にはとてもお世話になっています。ハウスを貸してくれた方をはじめ、アスパラの自動選別機を貸してくれた人も、『君がうまいこといったら、僕らもまたアスパラを栽培するからそれまで使って。今後、共同で使えたらいいね』って応援頂いてるんで、そのためにも頑張らないと。見学の方も増えているんで、そういった意味でも責任重大です! 淡路には空いているハウスも多いので、いつか"淡路アスパラ部(asupa love)"を立ち上げるのが夢です」

「がんばってくださいね。アスパラ収穫しに来たいなぁ」

塩道さん「ぜひ! 採りたてのアスパラはすっごいおいしいんですよ」

「わー! また来よう」

  • 塩道さんの手前にあるのはアスパラの自動選別機。地元の農家の方からご厚意で貸して頂いているものです。
  • アスパラの葉に寄生していた害虫。塩道さんは1つ1つ、手で虫の駆除をしています。

次に訪ねたのはバジルを栽培している青木朋博さん。青木さんの場合もただ栽培して出荷するだけではなく、バジルペーストやドレッシングなど加工品の販売まで手掛けています。自ら栽培し、加工して販売するという、「1次×2次×3次=6次産業モデル」をコンパクトな形で実現するのが目標です。まずはハウスの畑を見せてもらいました。中に入るだけでバジルのいい匂いがします。

「うわ、味にすごく清涼感がありますね。ちなみにどれくらいの期間、栽培したバジルですか?」

青木さん「だいたい今で6ヶ月のスイートバジルです。よくがんばってくれました。露地でも試したんですが、無農薬で作っているとやはり虫がすごくてハウスにしました。淡路はハーブが有名で、潮風や太陽と、もともとインドの植物であるバジルにとっては環境も整っている。暑さにも強いんで、ここで栽培するのが向いているんじゃないかと」

「青木さんは以前はどんなお仕事を?」

青木さん「私はアパレルの営業出身で、何かおもしろい農作物とかおいしい加工品を作りたいな、と。バジルってバジルペーストはいろいろあるんですが、値段が高かったり、イタリアから直接入ってくるので全部火を通してあって、賞味期限が1年以上とか、そういうものがほとんどなんです。食べると確かにバジルの味がするんですけど、そんなにおいしくなくて。で、フレッシュなバジルを使って自分で作って見たらすごくおいしかったんです。これはチャンスだな、と」

  • 元はファッションメーカーで営業をされていたという青木朋博さん。バジル栽培に対しての真摯な姿勢と斬新なアイデアには脱帽です。
  • 青木朋博さんのバジルのハウス。ハウスの中に入るとバジルのいい香りが充満しています。

「確かに熱処理していないバジルペーストってほとんど見たことないですね」

クラッカーに付けてバジルペーストを試食させてもらいました。鮮やかな緑で少し付けただけで口の中にバジルの風味が広がります。味も濃厚です。

「おいしいですねー。わざとらしいバジルの味ではなく、やっぱり風味が違う」

前田さん「僕、このペースト使ったことがあるんですが、パスタ以外の料理にも使えてすごくおいしかったです」

バジルの葉っぱを試食させて頂きました。バジル独特の風味とピリッとする食感が瑞々しかったです。

青木さん「あ、そうなんですね。ありがとうございます。パスタ用でクラッカーも塩味だから、試食はちょっと辛いかも。これは収穫したバジルを隣の加工場ですぐに加工してるんです。基本的に作り方は難しくはないけれど、バジルを贅沢にたっぷり使って、塩も沖縄のものを選んだり、オリーブオイルなど素材まで追求すると深い味になります。そして何より加工場が隣なので鮮度が自慢です」

「他にはどんなバジルの加工品があるんですか?」

青木さん「そのバジルペーストからドレッシングを2種類作りました。これもサラダだけでなく、パスタやパン、肉料理など調味料として使えます。そしてドレッシングにすると、賞味期限が常温で6ヶ月と長くなるのも良いところ。ドレッシングは淡路の島内の道の駅やお土産屋さんを中心に展開していて、大阪や神戸でも少しですが置いてもらっています」

ハウスの横の自家製工場で作られているバジルドレッシングとバジルペースト。

「まだまだ他に試作中なんですか?」

青木さん「幅広くやってまして、今は乾燥させるドライバジルの可能性を探っています。ドライにしてお漬け物やピクルスにいれたり、スープにしたり...。売っているバジルの調味料は完全に火を通してますので、風味も香りも死んでるんです。私は菌が死ぬギリギリのところでそれができないか、と今やってるところ」

「それは完成したら是非使ってみたいですね」

青木さん「ありがとうございます。淡路のバジルをブランド化して展開できるようにがんばります。あと、私は北海道出身なので、関西と北海道を繋げられたらおもしろいな、と思ってるんです」

ミーツ畑に通っているメンバーも、半農生活の池島さんも、お2人の話に興味津々。他にも土作りの話や害虫の話など、参考になる話も聞けて勉強になりました。単に作物を収穫するだけの農業ではなく、仕事として起業して成功させたい、というお2人の思いがビシバシと伝わってきて、圧倒されました。それと同時に、同年代としてすごく応援したくなりました。また、いろんな形でgrafと一緒に何かおもしろいこともできそうです。

パソナチャレンジファーム in 淡路

お問い合わせ/(株)パソナグループ
事業開発部・農業プロジェクトチーム
TEL/03-6734-1070(受付時間:平日の9:00〜17:30、土・日・祝休)
http://www.pasonagroup-challengefarm.jp/

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