
この連載企画では、第1回では木之本の[冨田酒造]さん、第10回には湖北の[お米の家倉]さん、と滋賀の湖北地方を訪れ、湖北との縁に恵まれましたが、それ以来、その輪はますます広がりつつあります。grafで昨年開催された『田園ドリームプロジェクト』は、そのつながりから発展した、滋賀の若い農業家たちとのコラボ企画展でした。家倉さんを中心に、写真家のMOTOKOさんを招いての「おいしいお米の食べ方」をテーマにしたトークショーは大成功。続いて今年の3月には、湖北の若手農家集団[konefaコネファ(kohoku new farmers)]が春を迎える民俗行事「オコナイ」をテーマに展示した『konefa+graf seazon1』も開催されました。お餅に関するイベントや郷土料理教室、それにコネファのメンバーが作る野菜や米のマルシェなど、いずれも盛況で、京阪神の人々に滋賀の食の豊かさを存分にアピールできる良い機会となりました。 その企画展では、湖西の物産品なども販売しており、今回訪れる[近江手造り和ろうそく 大與]の和ろうそくも、その時に並んでいた商品の一つです。[大與(だいよ)]の4代目の大西巧さんは[冨田酒造]の冨田さんの友人でもあり、grafのみんなも和ろうそくに触れてみて、以前からその和ろうそく作りの現場を見てみたいと思っていました。
そして滋賀の湖西・高島市の[針江のんきぃふぁーむ]の石津大輔さんは、『田園ドリームプロジェクト』のメンバーの1人。地域の有機農業のパイオニアだったお父さんから農業を受け継ぎ、高島市の針江でお米や野菜を作っています。しかし、実は石津さんとgrafとの出会いは『田園ドリームプロジェクト』の立ち上げよりも前。石津さんはかつて大阪で働いていたことがあり、共通の知り合いを介してgrafと知り合いました。
grafは昨年よりミーツファームを手掛けて自ら農業に携わるようになったこともあり、石津さんは良きアドバイザーでもあります。
今回はそんな大西さんと石津さんがくらす湖西地区を訪ねました。 お昼ご飯には[針江のんきぃふぁーむ]のお米を釜戸で炊く体験ができる[ソラノネ食堂]へ。そして川端(かばた)と呼ばれる湧き水を生活用水として利用する針江地区のくらしも訪問。そこには、自然が豊かで水に恵まれた、この湖西の地らしい、湖西にしかないライフスタイルが、ちゃんとありました。
琵琶湖の西側に当たる滋賀の湖西地方の高島市。かつて高島郡だった安曇川町、今津町、 新旭町、高島町、マキノ町、朽木村が2005 年に合併し、県で最も面積が広い高島市として生まれ変わりました。京都と福井に隣接しており、地形的には安曇川扇状地と石田川扇状地を除いて平野部が少ないのも特徴の1つ。森と里山と湖に抱かれた自然の宝庫で、夏はアウトドア、冬はウィンタースポーツでもおなじみです。
続いて向かったのは、旧家が多く残る高島市新旭町にある[針江(しょうず)生水の郷]。 "生水"とは湧き水のこと。この針江地区には、比良山系から湧く伏流水を生活用水として使う「川端(かばた)」と呼ばれる自然と共存する炊事場のシステムが、一般の家庭に今も残っています。2004年にNHKの特集番組で放映されて以来、観光客が急増し、無断で川端を見学に来るマナー違反の人も増えてしまったことから、地元の有志が中心となり[生水の郷委員会]を結成、ガイド付きで川端を見学するエコツアーをスタートさせました。
お昼ご飯はせっかくなので、[針江のんきぃふぁーむ]のお米が食べられる[ソラノネ紀伊国屋]へ。この食堂がある安曇川泰山寺付近は、初めて訪れた人は途中で必ず「こっちであってる?」と不安になるようなところなんですが、平日にもかかわらず多くのお客さんで賑わっていました。その人気の秘密はかまどで炊くおいしいご飯。「愛農かまど」と呼ばれるこちらのかまどは、湯沸かし、オーブン、炊飯、と3つの役割をひとつの炊き口で同時に果たすことができる万能かまどで、戦後の燃料不足の時代に酒井章一さんという料理研究家が考案したものだそうです。[ソラノネ紀伊国屋]ではこのかまどで炊いた炊きたてご飯が食べられるだけでなく、自分でかまどでご飯を炊く体験コースもあります。そこで私たちもかまど炊きを体験。店長の松山剛士さんにご指導頂きました。
今回の取材のおまけムービーです。
