1. EEIE HOME
  2. VOICE
  3. grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし
  4. 第14回 奈良、進化する麻の老舗[中川政七商店]を訪ねて。
  5. Chapter.2 [中川政七商店]の新社屋と本店に新しくできた茶房へ。

VOICE

grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

10.05.26

Chapter.2 [中川政七商店]の新社屋と本店に新しくできた茶房へ。

[遊 中川]の本店。元々は中川さんの実家だった日本家屋を改装して造られたもの。茶房も併設しています。

[中川政七商店]の製品作りの現場を存分に堪能した後は、奈良市内に戻り、なら町にある[遊 中川]の本店へ。この店の奥のお座敷スペースに、今年2月、[中川政七茶房]がオープンしており、そこでお昼ご飯を頂くことに。

[遊 中川]本店は、ならまちの路地にある築120年余りの日本家屋。茶房は家のように靴を脱ぐ和のスタイル。もともとは普通に中川さんのご家族の住居だったそうで、あえて大きく手を加えておらず、中庭を見ながらくつろげる肩肘貼らない空間です。ここで13代目の社長になる中川淳さんとも合流です。

「中川さん、こんにちは。今日は大人数でお世話になります」

中川さん「どうも。服部さんとは、今週は連日お会いしてますよね(笑)。設計の杉村さん以外は初めましての方がほとんどかな? いつもお世話になっています」

「このテーブルも、確かうちに発注して頂いたんですよね? 」

中川さん「そうですそうです。こうして日々使わせて頂いています」

ランチは3段のお重に入って運ばれてきました。なんとこのお重は、中庭からも見える蔵にあったものだとか。この日の献立は、大和高原鶏の梅煮や大和芋の和風コロッケ、吉野葛を使用したのきのこののっぺい汁など。デザートには大和茶のパフェも。奈良の食材がふんだんに使われています。

中川さん「このお重の他にも、蔵にはかなりの数と種類の器がありました。もちろん全てここで使っているわけではありませんが。このお重はそれぞれの段の高さが違うんです。下が深くて上のは1番浅い。どういった料理をどう入れ分けるか、苦労したみたいです」

「家にあったお重ってステキですね。サイズも丁度良いですし、この茶房のお昼ご飯にぴったりです」
「インテリアも"和"を主張しすぎない感じで落ち着けます。隣の部屋にはテーブル席もあるんですね」
「中川さんはいつから社長に就任されたんですか?」

中川さん「2年前ぐらいです。父もまだ会社にいるんですが、結構早くから、代わってくれって言われていたので」

「へー。では中川さんが入社されて、一緒に働いてらっしゃったんですね」

中川さん「そうですね、僕が入社したのが2002年。でも親父とは違う場所で働いていました。父はお茶道具、私は麻の方をやっていたんで、だから割に親子関係はもめることなく...(笑)」

「いろんな雑貨屋さんでも中川さんのところの商品をよく見かけます。ちなみに[粋更kisara]を立ち上げられたのは中川さんですか?」

中川さん「そうです。2003年立ち上げたんですが、最初の2年間ぐらいは、まぁひどい赤字ブランドでした。ギリギリのタイミングで[表参道ヒルズ]のテナント募集に応募して、なんとか店を出すことができて。ショップが出来たらあとはわりと順調に」

「出店はすごい倍率だったらしいですね」

中川さん「はい、1000ぐらいの応募があったらしいです。店が出来てみて感じたのは、モノは売りにいったらダメだなと。そりゃ作ってるので、売らなきゃいけなかったんですが、私自身が営業が嫌いなんで...。商品はたいして変わっていないんですが、店になったとたんに引き合いがドバッと来ました」

「すごいチャンスをつかんだわけですね。次の新しいブランドはどんな感じでどんな店になるんですか?」

中川さん「ずばり、社名をブランド名にしました。"温故知新"をコンセプトに、創業300年のうちだからこその品質を大切にした、生活に根ざしたブランドにしたいなと。それと、このブランドが日本の伝統工芸品の出口になればいいなと思っています」

服部さん「どうしてウチに、その新しいブランドの店舗デザインを頼もうと思って下さったんですか?」

中川さん「店のなんとなくのイメージを、ブランディングを担当してもらっているグッドデザインカンパニーの水野学さんと話していて、そのイメージならデザインは服部さんだろうということに...。それに以前から、grafさんのされている事や作られている店やモノには興味があって好きだったので...」

服部さん「ありがとうございます。がんばります」

「どうでした? 服部と会ってみて。実際初めてだったんですよね?」

中川さん「真面目な話、超一流の人で悪い人っていない気がするんですよ。そういう意味では心配もしていませんでした。歳も近いんで、とても楽しく刺激的に仕事をさせてもらってます」

「超一流は言い過ぎやなぁ(笑)」

中川さん「歳は厳密には服部さんの方がちょっと上で、僕は弟さんの智樹さんと同じ歳なんですが、とてもざっくばらんに話がしやすい方で。服部さんはたまにこう、長男風を吹かすんですけど(笑)」

服部さん「吹かしてへんわ!」

  • 日本家屋の日本間をそのまま客間にした[中川政七茶房]の店内。家具や調度品がいい風合いを醸し出しています。
  • 青大豆から大和高原鶏、大和芋、古代チーズの「飛鳥の蘇」、吉野本葛など地元の素材にこだわった献立の数々。
  • デザートは大和茶で作った抹茶のパフェ。上に乗っているのは、鹿のかたちのもなか。
  • 月ヶ瀬の工房にもあった昔ながらの糸撚機が展示されていました。
  • 手織りの麻で作られた日傘や帽子。日常遣いの品々にいかに伝統の技術を取り入れるか、それを突き詰めた結果が、こうした商品に結実しています。
  • 取材に訪れたのは平日の昼間だったにもかかわらず、この賑わい。観光客や地元のカップル年齢も幅広く。
  • のれんやタペストリー。伝統の製造工程によって、麻の独特な風合いと肌触りが生み出される。染められた色味もまた趣があります。
  • 香袋に麻の絵はがき、ハーブティーなどなど。雑貨や小物の一つ一つに味わいがあります。
  • 香袋やチャームなど、お土産品も人気です。パッケージのデザインも多様です。
  • 倉敷帆布で作られた[中川政七商店]ブランドのトートバッグ。使い勝手も良くて人気商品だそうです。
「手作り鹿もなか」と「和三盆こんぺい糖」「和三盆クッキー」。箱や包み紙は和紙です。
吉野本葛のぜんざい(578円)。包装紙や結わえ紐にもこだわりが見られて粋です。
水出し番茶と嘉兵衛番茶。茶房でも出されている、お茶の名産地である奈良の番茶です。

中川政七茶房

奈良県奈良市元林院町31-1 遊 中川本店内
TEL/0742-24-2267
11:30~18:00
無休
http://www.yu-nakagawa.co.jp

完成したばかりの[中川政七商店]の新社屋を訪問。

おいしくランチを頂いた後は、今年の3月に完成したばかりの新社屋へ。
今年の3月5日の新社屋お披露目会には300人以上もの来客があったそうで、grafの服部さんやグッドデザインカンパニーの水野さんなどを招いてのトークイベントも開催されました。

[遊 中川]の本店からクルマで約10分。川沿いで周りにあまり大きなビルなどもなく、外装の色が異なる6つの平屋が連なるその外観は、まるでお店!
グッドデザインカンパニーの水野さんがアートディレクションして、建築家・吉村靖孝さんが設計した、"未来の町家"をコンセプトにした社屋です。

新社屋では、商品企画部の細萱さんと岩井さんが案内してくれました。

中に入ると打ち合わせができるテーブルがあり、その奥が社員の皆さんが働いている部屋。中央に倉庫のような大きな棚があり、手前では梱包作業、奥には個人の机がずらりと。仕切りはなく、とてもオープンな雰囲気です。中央の棚は商品の在庫かと思いきや、布や紙など商品開発するためのいろんな素材でした。

部屋には「一」「二」と漢数字の番号が付いていて、「一」は休憩室。ここには8mもの大きなテーブルが2台も!
これは社長の中川さんのこだわりで、お気に入りでもあるそう。あえて小さいテーブルにせずに、1つのテーブルを共有することでコミュニケーションを深める場所にしたい、という想いも。お昼は社員の皆さんが、ここでお弁当を食べたり、お茶を飲んだり自由に使えます。テラスには桜など、季節を感じさせる7本の木が植えられています。

「大きいテーブルでも会議室とは全然違う開放感。窓も大きいので明るいし、冬は暖かそう」

岩井さん「それにここ、床暖房なんです。実は奈良って冬がとても冷えるんで」

「うらやましい!」
「それにカッコいいです。大きい本棚もいいですね」
「この『グッドニュースファイル』って何ですか?」

岩井さん「お客様からのお手紙やメールとか、掲載された雑誌など、その名のとおり、いろんなうれしいニュースをみんなで共有するファイルです。社員なら誰でもファイリングできます」

「ええやん! なんかアナログなところも懐かしい感じ」

女性がとても多く、スーツではなく私服の方が多いので、大学のような自由で清々しい印象を受けました。
そして何よりオシャレ! 椅子のピンクが効いていたりテーブルの形もユニークだったり、いろんな部分にグッドデザインを発見できました。
それだけでなく、動線や仕事の効率もちゃんと考えられて、会社としても素晴らしい建築。[中川政七商店]の勢いをビシバシと感じずにはいられない空間だっただけに、grafのスタッフも自然とテンションが上がっていた様子でした。

  • 幾何学的でモダンなフォルムの[中川政七商店]の新社屋。グッドデザインカンパニーの水野さんがアートディレクション、建築家の吉村靖孝さんが設計。
  • 広々とした社内は、スタッフの皆さんの活気に溢れていました。自由な服装にも社風が見て取れます。
  • 新社屋の食堂。樹の質感を生かしたテーブルや椅子などのインテリアもお洒落で、社員食堂のイメージを覆されます。
  • 新社屋のオフィススペースは、敷居の壁に書かれたこの漢数字によって識別されている。
  • 新社屋の食堂に作られた書棚。並んでいる蔵書は、社員が自由に閲覧できるそうです。
  • スタッフが見つけた会社に関するニュースをファイリングして共有している『グッドニュースファイル』。
  • 『グッドデザイン賞 金賞』を受賞した「花ふきん」。蚊帳生地で大判薄手、吸水性と速乾性に優れている。

(株)中川政七商店 本社屋

奈良市東九条町1112-1
TEL/0742-61-6676
http://www.yu-nakagawa.co.jp

このムービーをご覧になるには、FlashPlayer(Ver8以上)が必要になります。下記のリンク先より最新のFlashPlayerを入手してください。(無料)

PAGE TOP