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grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

10.03.24

Chapter.2 ミーツ畑の小屋造り、いよいよ着工! そして完成まで。

ミーツ畑への材木運搬からしばらくして、服部滋樹さんに描いてもらったイメージスケッチを具体的な設計図に。今回、設計は元・grafの設計スタッフの野澤香織さん(通称:JOYさん)が担当してくれました。

今回、農作業小屋の設計をしてくれた元・grafの設計スタッフの野澤香織さん(JOYさん、右)と、現場監督を担当してくれた服部智樹さん。

家具工場から家具職人の服部智樹さんと設計担当のJOYさんが改めてミーツ畑を訪れ、ミーツ畑の広さをメジャーで測定して、資材の種類と量をチェック。そうして完成した農作業小屋の設計図は、パネル状にして各々、強度を持たせた床や壁で構成するパネル工法と、柱や梁を用いる軸組工法を組み合わせたもの。軸組工法は、日本古来の家の建て方で、柱を基本とする「軸」で構成され、一方、パネル工法は、2×4(ツーバイフォー)で知られているように、壁や床といった「面」で構成されます。あえて2つの違った工法を選択したその理由をきいてみると...。

JOYさん「今回は資材ありきの設計だったので、この分量で足りる設計をしないといけなくて。物量的には足りるんだけど、柱にできる資材が少なくて。だから本当は軸組でやりたかったんですけど組み合わせました」

「grafさんとしてはどっちが得意とかあるんですか?」

JOYさん「grafの設計としては、どちらかというと内装設計のお仕事が多く、数は少ないですが住宅などの建築の設計もしています。でもパネル工法はやったことがありませんでした。以前[graf media:gm]で画家の奈良美智さんの小屋を立てたときはパネル工法を採用しましたが...。パネル工法の方がこういった小屋の場合、シンプルかつ合理的なので早いんです。水都で使っていたのはいわゆる足場板と呼ばれる20㎝幅の板。建築現場で足場にされるほど強い板だし、地盤にも使えるかなと。智樹さんと図面を見て相談しながら、その足場板を外壁に貼ったり、意匠にも構造にも使うことにしました」

「服部さんのあのスケッチから図面にするのはいつもの仕事なんですか?」

JOYさん「そうですね。ドローイングとかも多いですよ(笑) 何せ忙しい人なんで」

「へえ~、そうやって出来上がっていくんや」

そうしていよいよ1月下旬から農作業小屋の製作がスタート。
小屋は道路から見て畑の右側に位置して、10平米足らずの大きさで横長。主に耕耘機などの農機具を収納する目的で、手前には人が2人ぐらいが寝転べそうな広さのテラスも設けます。さらに小屋の前にはビニールハウスを造る計画も。ビニールハウスは清順さんのところで使わなくなったものを譲ってもらいました。組み立ては、また清順さんから教わる予定です。

実はgrafはこのミーツ畑の農作業小屋の製作のために、家具工場を1週間も閉鎖。工場のスタッフ全員と設計のJOYさん、加えてgrafから応援のスタッフが日替わりで加わり、5日間、貼り付いて取り組んでくれます。
このために家具工場の仕事を1週間分前倒しにしてくれたそうで、心から感謝! ありがとうございます。ミーツからもEEIEのスタッフのほか、編集長も応援に。

「grafさんって、こうやって毎日現場に貼り付く仕事もあるんですか?」

JOYさん「基本設計や施工監理はあっても、こうして現場にずっと貼り付くことはほぼありませんね」

智樹さん「家具工場のスタッフの中では野澤だけ大工経験者だけど、みんな普段は家具職人。木を触る仕事という意味では同じだけど、専門用語も違うし新鮮ではありますね。若手2人にも良い経験になります」

JOYさん「今回は水道や電気が絡んでこないので、このメンバーでできるんですよ」

初日から2日目に掛けては、智樹さんが全体のディレクションを行い、荒西さん、野澤さんが小屋の基礎工事を担当。ミリ単位の細かい計測をしつつ、コンクリートの束(つか)を設置していきます。
一方、高野さんと中原さんの若手2人はひたすら木を切って細工と、5人できちんと役割分担がされています。

「grafさんの仕事現場をきちんと見せていただくのは初めてやけど、それぞれ役割分担されていてすごく興味深いです」

智樹さん「工場ではほとんど1個のものを1人で作るんで、あまり分担作業って実はないんです。こうして大きい物になると、こっちで基礎するので、そちらで『刻み』お願いしますって分担します」

「刻み?」

智樹さん「大工の専門用語です。軸組工法では、木を組み合わせる『ホゾ組み』が基本で、その材料を加工するための印を付けることを『墨付け』、それにそって木を切ったり加工することを『刻み』と言います。今回は二人に『刻み』をお願いしたんです」

「なるほど。編集作業で言うと、まず新人はポジ切り、電話確認みたいなもんかな(笑)。黙々と木を切ってたもんね」

毎朝、9時には朝礼をして、その日の作業を確認。効率よく作業をするための役割分担と実際の作業風景を見ていると、とてもテキパキとしていて気持ちが良いです。
私たちも写真を撮ったり畑作業をしながら、防腐剤を木に塗ったり、職人仕事以外の簡単な作業は手伝いました。

3日目には棟上げまで進んで、あとは壁と中の芯を付けていって...。
各自いろんな場所を同時進行で完成していくのでスピーディーです。

  • 野澤香織さんが描いてくれた配置図。畑の東側に小屋とビニールハウス、それにデッキが設置されます。
  • 小屋の設計図。小屋自体は4m×2.6mで、耕耘機や農具を収納できる納屋。そこにビニールハウスとデッキを組み合わせ。
  • 施工初日。まずは小屋を建てる場所の地ならしから始めます。
  • 耕耘機も使って地ならしします。JOYさんも荒西さん(左)のコーチの元、初めての耕耘機にチャレンジ。
  • 小屋を建てる場所の採寸をします。ミリ単位の慎重さが求められます。
  • 基礎となるコンクリートの束(つか)を所定の位置に置いていく、家具職人チームの長老2人組。
  • まずは基礎工事。図面に沿って、コンクリートの束を埋め込んでいきます。土台となる部分だけに、細かい計測が大事。
  • 野澤さん、荒西さんの2人が基礎工事をやっている間に、智樹さんと高野さん、中原さんは材木の加工をします。5人できちんと役割分担がされています。
  • 今回の小屋作りでは材木の加工をする『刻み』を担当してくれた、若手組の高野夕輝さん。
  • 施工3日目にしてようやく棟上げ。軸となる柱を組み立ててていきます。
  • 柱と梁を組み合わせて軸を構成する軸組工法で小屋の柱を組み立てます。
  • 『つかの間レストラン』の企画を担当した置田さんも駆け付けてくれました。小雨の中、作業が続きます。
  • 柱が組み上がっていく中、JOYさんは柱に防腐剤を塗っていきます。私たちも少しだけですがお手伝いしました。

月曜から金曜までの5日間、お昼ご飯は当番制です。
この連載の取材で伺った京都・伊根町の[向井酒造]で買った酒粕を使って粕汁を作ったり、好きな具を挟んで食べるサンドイッチがあったり、連日、grafの調理スタッフが手間暇掛けてメニューを作ってかなり豪華です。

施工初日のメニューは、[向井酒造]の酒粕を使った粕汁。ミーツの金馬編集長のお手製です。
初日の粕汁の仕込みの様子。堀田さん(左)とミーツの金馬編集長(中央)がこの日の調理担当。
お昼の団欒はほっと一息の時間。この畑の恩人である西畠清順さん(左)も立ち寄ってくれました

みんなでお話ししながら昼食を食べていると、小屋の前をクルマで通る人は速度を落としてじっと見ていきます。畑の脇にタープを立ててテーブルを置き、みんなでわいわいとご飯を食べている様子は、平日の昼間とは思えない光景。「せっかくやるなら楽しみながらやる」というのがミーツとgrafの大きな共通点なので、ここは外せないところ。

  • 施工2日目の昼食のメニューは、白身魚と野菜の重ね焼きです。温かいメニューで冷えた身体が温まります。
  • 最終日の昼食のメニューは、鶏の香草煮にミネストローフ、鶏肉が入ったサラダ、厚揚げなど。野外での調理とは思えないほど豪華なメニューです。

1日ごとにそれらしく形が出来上がっていく農作業小屋。
初日~3日目までは晴天でしたが、大詰めの4日目は雨模様に。それでもなんとか作業は進み、最終日に。最終日は小屋のスケッチを描いてくれた服部滋樹さんも参加。そこでまた新たな計画が...。

服部滋樹さん「今度はこの小高い丘に風呂を造って、星を見ながらみんなで風呂に入ろう! その風呂釜は、お酒の樽を造る職人さんに作ってもらって、それを設置するデッキを俺らが造って...」

「木樽の風呂、いいなぁ。水は上まで引くか何とかしないとあかんなあ」
「トイレもどうかしなあかんなあ」

服部滋樹さん「例えば、風呂が完成したら、こっちの作業小屋をトイレにするとか、徐々に変えていけたらいいよね。すぐには無理だけど、まだまだミーツ畑は完成じゃない! ビレッジにしていこうよ」

そう、実はこの農作業小屋も、最初から壁は全部完成させる予定ではありません。

智樹さん「今後、ここで何かが始まるようにしたいなと思って、この壁もワークショップを開催してみんなで仕上げたらいいんじゃないかと」

「名案やねえ! 今後この畑では、季節毎の苗付けや収穫イベントなどもしたいと思っていて、この小屋造りは始まりの一歩やから。全てがこれからだと思ってるんです」

荒西さん「造ってるのは、まさに"ええ家(EEIE)"やね」

最終日、屋根や壁を貼り終えて、残った材木を片付けて、結局、作業を終えたのはどっぷりと日が暮れた頃。この5日間でちゃんと屋根まで付いて、予定通りです。さすがgraf! 企画力もあって、デザイン、モノ造り、食、楽しみ方、どれを取っても脱帽です。ミーツ畑は今回のgrafとのコラボレーションがなければパワーアップは不可能だったでしょう(それに、そもそもこの畑作りのきっかけを与えてくれた西畠清順さんにも感謝です!) 今年は随時この場を借りて、ますます夢が広がっていくミーツ×grafの畑の畑便りもご紹介していけたらと思っています。

  • 右から、清順さんと服部滋樹さん、(株)花宇のスタッフのお2人。畑計画のこれからを語り合っています。
  • 小屋の向こうに続く小高い丘に展望風呂とゲストハウスを。服部さんのアイデアに、畑計画の夢は拡がっていきます。
  • 最終日、パネル工法で壁を立てかけていって、徐々に農作業小屋が形になっていきます。完成がほぼ見えてきました!
  • トタンの屋根を取り付けて、もうすぐ完成。服部さんも自分のアイデアが形になるのを、ワクワクしながら見ています。
  • 最終日の作業を終えた頃には、どっぷりと日が暮れて。ミーツ畑の看板の向こうに、きれいな満月が浮かんでいます。

ちなみに、小屋の壁はこの連載の取材でお会いした、淡路島のカリスマ左官職人の久住有生さんにお願いしようと盛り上がっています。

作業の後片付けをしていたら辺りはすっかり真っ暗に。山中なので空気が澄んでいて、見上げれば小屋の上に幾つか星も見えました。そして空には満月がきれいに輝いていました。

これが2000年、grafの創世記に作られた『月は、まわったかい。Space as a device』。家具のカタログとイメージビデオのセット。ビデオパッケージのイラストが、今回の写真(下)をイメージさせます。

そこで5日間、納屋造りに取り組んでくれたgrafのみんなで記念撮影。
どっぷり日が暮れた中、出来上がったばかりの小屋の前に並ぶgrafのみんな。
その頭上には満月が光っていて...。
映画に出てくるような光景に、代表の服部滋樹さんが、「この写真、10年前にgrafがまだスタートしたばかりの頃に初めて作った家具のカタログ『月は、まわったかい。』と同じイメージやわ。そう考えると、今回の小屋作りは、10年前からやることが決まっていたんかもしれへんなあ」とぽつり。

これまたジーンとくる話です。

最終日、完成した納屋の前で。5日間がんばってくれたgrafの職人チームと服部さん、川西さん。満月がキレイで、何だか映画のワンシーンみたいです。

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