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grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

09.12.24

Chapter.3 おいしいお米を食べて、農業に情熱を注ぐ若者たちのくらしに触れよう!

この日の最後には、家倉さんと西橋さんも一緒に、彦根にある居酒屋[旬菜酒場 菜でしこ 彦根店]へ。家倉さんたちともお知り合いの[冨田酒造]の冨田さんも合流しました。

冨田酒造の冨田さん(右)も合流して、お米を通じて繋がった湖北のイケメン3人衆が揃いました。

こちらの居酒屋、地元の食材やお酒にこだわっていて、家倉さんの田んぼで収穫した無農薬米『ミルキークィーン』の炊きたてご飯も食べられる人気店です。[冨田酒造]の銘酒『七本槍』も取り扱っています。

[旬菜酒場 菜でしこ]では、家倉さんが収穫したお米が食べられます。メニューにも家倉さんの笑顔が載っていました。

みんな揃ったところでとりあえず乾杯をしてから、再び家倉さんの就農までの話に。家倉さんは、大学卒業と同時に家業の農業を継ぎましが、実は大学3回生の時にお父さんが体調を崩し、すぐにでも農業を継がなければならない状況だったところを、土日は必ず農業を手伝うという条件で、とりあえず卒業はさせてもらったんだとか。

家倉さん「でも、その頃は農業に対して前向きではありませんでした。僕は小さい頃から自分の家が農家だということに誇りが持てなくて...。どちらかというと人に言いたくなかった...。でも農業を継いで2年目ぐらいから、今のままではあかんなって危機感もありました。このままやと自分自身腐ってしまう、と...」

「そんな気持ちが変わったのは、何がきっかけだったんですか?」

[旬菜酒場 菜でしこ]の最後のシメも、土鍋で炊いた『ミルキークィーン』。もちろん家倉さんが育てたお米です。

家倉さん「友達のお姉さんからの『うちで農業体験させてくれへんか』っていう依頼でした。実際にやってみたら結構楽しくて。当時、僕がやっていた『慣行栽培』っていう普通に農薬を使用する農業は、ある意味、工場の流れ作業みたいだったんだけど、農業体験でやるような"手作業目線から見る農業"は、また違うものだったんです」

"手作業目線から見る農業"。

それは機械の上からの目線とは明らかに違って、田んぼの土を手のひらで掬ったらどじょうが出て来たような、今日私たちが見た、土に近い、しゃがんだ時の目線。その経験から、農業を違った目線で見られるようになったと感じたとか。その後、作業中に農薬の粒が目に入って視力が下がってしまったという経験や、無農薬のお米や野菜を宅配して成功している先輩の姿を見て、無農薬の農業に対する意識に変化が。将来的に農業を継続していくために、ちゃんとしたのビジネスとしても、無農薬栽培にチャレンジしてみようと決意したのは4年前でした。

「ご両親は反対しなかった?」

美味しいお米を作る人は、とびきり美味しそうにお米を食べるものです。

家倉さん「無農薬栽培なんて無理やでと言われましたが、とりあえずやってみたら、と。もともと農薬がない時代には無農薬でやっていて、その大変さを知っているから、1年やってみたら諦めるやろ、と思っていたようです。でも僕がチャレンジすることに対しては反対しませんでした。実際雑草が生え放題の田んぼになったし、周りの農家さんには変な虫が飛ぶようになったとか言われたことも...」

「うわ、大変ですね」

家倉さん「でもね、僕が伝えたいのはそんな苦労話じゃないんです。目線が変わったからこうしてMOTOKO さんや皆さんにも出会えたということ。それに、無農薬のお米は本当においしいんです!」

滋賀県には、農薬や化学肥料の使用を通常の5割以下に抑えた農作物を、『環境こだわり農産物』と認証して、認証マークを点けて販売するという制度があります。
安全性だけでなく、琵琶湖の環境へも配慮していて、そんな風に滋賀県は他県に比べて環境意識の高い県です。家倉さんの家も、この認定を受けた減農薬の米を作っていますが、無農薬のお米と食べ比べると、断然、無農薬のおいしさが勝つんだとか。

[旬菜酒場 菜でしこ 彦根店]のスタッフのお2人と一緒に。それにしても湖北はイケメンが多い!

家倉さん「就農した頃は、自分の家のお米に自信が持てなかったんです。実は減農薬のお米もおいしいと思ったことがありませんでした。それが、無農薬を始めて2年目に、これは旨い!と。1年目はあまり感じなかったんですが、2年、3年経つにつれ、だんだんおいしくなってきたんです。環境とか安全とか、いろんな角度から無農薬って見ることができるんですが、あえて僕が言いたいのはおいしさです」

そんな家倉さんを迎えてのgraf でのイベント、そのテーマは『おいしいお米の食べ方』。このイベントには冨田さんも出演します。お米のイベントに、お酒も? いえいえ、お米がないと日本酒はできませんから。ちなみに来年から[冨田酒造]の日本酒を仕込むための酒米の一部を家倉さんが作ることになったんだそう。

冨田さん「地酒と名乗るからには、滋賀の米で、米の特徴を出した日本酒を作りたい!」と、滋賀の米作りには農家並みのこだわりが。ちょうどメンバーが揃ったので、イベントに向けた意気込みも。

家倉さん「精米したてのお米の香りを嗅いでもらいたい」

「白い炊きたてご飯、何で食べる?」
「集落っていう都会にはないコミュニティーの話は興味深い」
「日本酒の米作りってどう違うの?」

「農業ならではの豆知識とか...」

今日1日、湖北でお米作りの現場に触れたことによって、単なるおいしいお米の試食会ではなく、農業という仕事にまで掘り下げた濃い内容のイベントになりそうです。

家倉さん、西橋さん、冨田さんらとの、農業とお米の熱い話は続き、大阪に戻ったのは午前1時。ほんと、お腹いっぱい、お腹も心も満たされた1日でした。

旬菜酒場 菜でしこ 彦根店

滋賀県長浜市八幡東町185-1
TEL/0749-62-7771
営業時間/18:00~2:00
定休日/火曜
http://nadeshiko.shiga-saku.net/

田園ドリームプロジェクト×graf
『おいしいお米の食べ方。』

2009 年12 月5 日(土) 19:00~21:00
[ 場所 ] graf dining: fudo(graf bld.2F)
[ 出演 ]
家倉敬和(米農家)
堀田裕介(graf dining: fudo)
冨田泰伸(冨田酒造有限会社)
MOTOKO(写真家)
[企画] 田園ドリームプロジェクト実行委員会、graf
[協力] Meets Regional(http://www.lmaga.jp

イベントリポート

MOTOKOさんが撮影した湖北の田園風景のスライドを見ながらのトークショー。質問も出て、盛り上がりました。

12月5日(土) 19:00~21:00に[graf dining: fudo]で行われた『おいしいお米の食べ方。』に行ってきました。
事前に、家倉さんとMOTOKOさんがFM802の番組に出演した効果もあって、当日は満員御礼。定員は50名でしたが、関係者も含めて超満員でした。
家倉さん、MOTOKOさん、冨田さん、そしてgrafの堀田さん、と自己紹介の後、MOTOKOさんが湖北の田園風景を撮影した写真のスライドショーからスタート。それを見ながら家倉さんの稲作仕事のことや、『ミルキークィーン』の味や無農薬の話、[田園ドリームプロジェクト]の活動の話、冨田さんのお酒作りとお米の話など、4人のトークはどんどん観客を惹きつけながら広がります。

やがてトークの間に堀田さんが土鍋で炊いていたお米が炊きあがり、待望の新米の炊きたてご飯の試食タイム。炊きたてのご飯とともに、6時間前に炊いておにぎりにしていたご飯も配られると、「冷えててもおいしい!」と、家倉さんが無農薬で育てた『ミルキークィーン』のお米本来の美味しさをみんな噛みしめていた様子。

後半は、ミーツの編集部スタッフが家倉さんのお宅での農業体験をさせて頂いた時の模様をスライドショーで見ながら、ちょっと笑いもありの農業体験談で、さらに会場は和やかな雰囲気に。
最後には、現在の滋賀県や滋賀近郊の農業事情から、全く違う職種から滋賀に来て就農された方々へもインタビュー。
家倉さんから「農業体験もどしどし受け付けます!」の案内があって、イベントは盛況に終わりました。
帰りには、1階のサロンで家倉さんのお米を買い求める人の列ができていました。

おいしいご飯に惹かれてやって来た人、農業や稲作に興味がある人、家倉さんの農業仲間など、来場者の参加目的はそれぞれ様々だったと思いますが、みんな「食」に対する関心が更に盛り上がった様子。大成功に終わって、田園ドリームプロジェクトの今後の活動や、graf との更なるコラボレーションの取り組みにも繋がりそうな、貴重で素敵な夜でした。

イベント終了後、場所を変えての打ち上げを兼ねた懇親会で、家倉さんが言っていた「僕が育てたお米たちに代わって、僕がお米の本当の美味しさを伝えていきたい!」の言葉が印象的でした。

  • 土鍋でお米が炊きあがるとみんな集まってきて写真を撮りまくり。炊きたてのご飯の湯気が美味しく香ります。
  • 炊きたてのミルキークィーンが配られると、会場のあちらこちらから、「美味しい!」の声が沸き上がりました。
  • ミーツの編集スタッフコンビも迷MCともに、自ら制作した家倉さんのプロモーションスライドを披露して沸かせました。

Fin
(取材/天見真里子)

grafからのメッセージ

この連載では、第1回目に訪れた木之本に次いで2度目となった滋賀の湖北への訪問。毎日自然と真剣に向き合ってくらしている家倉さんは、とてもたくましく、誇らしげに見えました。そんな前向きで正直で迷いのない姿に、とても刺激をもらった1日でした。

その家倉さんの暮らし、農業について...

今までにお会いしたことのある農家の方々と家倉さんの違うところは、我々と同年代ということ。そして何より、「これからは農家も変わらないといけない!」と強く意識をしていらっしゃるところ。田んぼ1枚1枚にも違う表情があり、そんな様々な表情をした田んぼと向かい合っている農家の皆さんのまっすぐな姿勢や情熱は、都会くらしの中で自分の進むべき道を迷っている人達にも、きっといい刺激になると思いました。

今回の取材では、"農業のプロ"のお仕事ぶりを感じました。家倉さんのところは、想像していたより規模が大きくて驚きました! 広大な田んぼが広がり、山々に囲まれ、空気がきりっと冷たくて気持ちよかったです。今回、お伺いして、そんな大自然としっかり向き合って、くらし、仕事されている姿を感じることができました。

無農薬栽培の田んぼでどじょうを見たのも初めてでした。生態系がちゃんと守られている、そんな自然そのものの環境も、家倉さんの「おいしいお米をつくりたい」という熱い気持ちと毎日の労働があってこそ。それを痛感した後で食べた、薪で炊いたご飯はほんとうに美味しかったです。ネギ味噌やお漬け物、それに家倉さんのお母さんに教わりながら一緒に作った柚子味噌など、手作りのおかずもとても美味しかったです。今度は家倉さんのお母さんに、滋賀の郷土料理を学ぶ会を企画したいと考えています。

最近、私の近しい人達も畑を始めたり、お米を作り始めたりと、農業に挑戦している人が増えています。私も最近、食についてよく考えるようになりました。美味しいご飯を作って、それを食べてもらって喜んでもらえることに幸せを感じているので、自分で育てたお米や野菜を使って料理ができたらいいなと思っています。今すぐというわけにはいきませんが、環境を整えて、自分で責任を持ってできる範囲で、農業にチャレンジしてみたいと思っています。

初めて湖北を訪れるメンバーもいたけど、滋賀については...

3年くらい前から、大阪以外で通勤圏内に引っ越ししようと考えていたときに、白州正子がたびたび滋賀を訪れていたことや、住みやすいイメージがあって、滋賀を候補に考えていました。今回、実際に滋賀に訪れてみると想像通り! 季節ごとに変わっていく風景や、滋賀でくらしている皆さんの生活を垣間見れたことも良かったです。
そして薪で炊いていただいた家倉さんのお米のおいしいこと! これから何度でも通いたいと思います。きっと今後の生活に影響を与える1日になりそうです。

そして、今回、滋賀を訪れるまでの、自然な経緯についても特別な思いを感じていました。

今回は、"人の繋がり縁" を感じました。
私はお茶を通じて知り合った猪田一子さん(彼女も滋賀出身で[大戸洞舎]に住み込みで最近まで働いていたんです)に、この連載の初回で取材に伺った冨田さんや[大戸洞舎]さんを紹介して頂いて、皆さんと知り合うことができました。
今回、写真家のMOTOKOさんを介して紹介して頂いた家倉さんもまた湖北の方で、湖北にさらなる縁を感じました。こうして知り合った方々が繋がり、一緒にお仕事をさせて頂いている今に、とっても感謝しています。

grafで家倉さんと一緒に企画した12/5のイベント『おいしいお米の食べ方』では、[お米の家倉]のお米も販売しました。取材の日に頂いた、籾殻や粟、ヒエ、小豆、藁などを展示した企画展も好評です。イベントや企画展に来てくれた皆さんの食卓が笑顔でいっぱいになるように、たくさんの方へ家倉さんのお米のおいしさをご紹介したいと思います。

家倉さんのお米が、また人と繋がっていって、どんどん広がりますように!

前列の中央が家倉さんのご両親。今日は夜遅くまでありがとうございした。炊きたての新米の美味しさ、忘れません!

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