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grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

09.12.24

Chapter.2 農業や建築で自立する人々を育てる[どっぽ村]。

続いて訪れたのは、同じ湖北町の上山田という農山村にある農事組合法人[大戸洞舎(おどふらしゃ)](※注釈参照)。上山田の農地の約7割を占める約21haの広大な農地では、「有機的農村へのチャレンジ」をモットーに、お米やそば粉、豆や麦などを作っており、ゲストハウスではその生産物・加工物の購入や食事ができます。同じ敷地内の[どっぽ村]では、建築工房の[エコワークス]とタッグを組んで、陶芸や木工のワークショップやイベントを開催したり、3年間の研修で農業と建築を身に付ける[どっぽ塾]を企画運営しています。近くに住んでいる家倉さんも、イベントに参加したり交流があるそうです。また、 今回のナビゲーターのgrafの川西さんは、ここで働いている猪田一子さんとは同じ中国茶の先生のもとで習っていたこともある友人で、[大戸洞舎]を訪れるのも3度目。この連載の第1回目に取材した同じ湖北の木之本町の[冨田酒造]の冨田さんとの出会いも、猪田さんに紹介してもらったの がきっかけでした。

(※農事組合法人とは、農業共同組合法に基づいて設立される、組合員の農業生産についての協業を図ることにより、その共同の利益を増進することを目的とする法人。事業は農業関連のものに限られ、個人の組合員は原則として農民に限られる。)

  • この広大な敷地全てが[どっぽ村]のフィールド。農業と建築を中心に、独歩=1人で暮らしていく営みを支えている。
  • 素朴な民家風の[大戸洞舎]の建物。右の建物で蕎麦のコースが頂けます。

「こんにちは。お久しぶりです。遅くなってしまってすみません」

松本さん「どうぞ中にあがって下さい、早速じゃあ蕎麦を召し上がってください」

まずは、自家製の蕎麦で作る「蕎麦の会」のコースを頂きました。作付けした蕎麦を、[大戸洞舎]代表の松本茂夫さんとスタッフの小障子正喜さんが2人掛かりで朝から打ってくれました。季節の野菜を使った前菜に天ぷら、おろしとかけの2種類の蕎麦、さらに蕎麦の実の雑炊、デザートに蕎麦粉のプリン、と蕎麦尽くし! みんなで蕎麦を堪能した後は、[どっぽ村]を案内してもらいながら、お話を伺いました。

  • [どっぽ村]で収穫した野菜や五穀米、川魚を使った前菜。
  • ここで栽培した蕎麦の実を使った手打ちの蕎麦。蕎麦の風味が抜群でした。

[どっぽ村]で暮らす若手の農業家が栽培している畑。きちんとこまめに作付けされています。

「[どっぽ村]というのは何を指すのですか?」

松本さん「組織とかではなく、簡単にいうと、"場の名前"です。農業と建築を中心に、陶芸や木工、染色や絵画など、いろんな暮らしにまつわる活動をする人が集まる場の総称。
[大戸洞舎]は、そこにある農業会社です。主軸は、3年間で農業と建築の基礎を身に付けられる[どっぽ塾]という研修事業。どっぽ=独歩、つまり1人でオリジナルの人生のスタートが切れることを目的としているんです」

村の中は、延べ300人以上が参加したワークショップで建てられた宿泊にも使える施設を拠点に、農地、山羊の放牧地、木工教室、陶芸の穴窯、大工小屋、と歩いてまわると30分以上はかかろうかという広さ。空き地は、塾生や移住してきた人の夢がみんなの力で形になっていく空間。最近では[どっぽ村]で陶芸の講座を開講している大学講師の猪股さんの教室兼工房が半セルフビルドで建てられたばかり。川西さんのお友達の堀口さんと画家の旦那様のアトリエも、もうすぐここに建つ予定です。

「[どっぽ村]と[大戸洞舎]とはどういう関係性なんですか?」

松本さん「[どっぽ村]で活動する人はそれぞれ独立しているけど、何か関連付けさせて、お互いが発展できるように考えていきたいと思っています。例えば、[どっぽ村]のクラフト工舎のワークショップで食事が必要な場合は、[大戸洞舎]が食事を作る、といった具合に。クラフト工舎でも、木工と陶芸のプログラムが連動するなど、いろんな絡み合いがそれぞれにあると面白いだろうなと思います」

「素朴な質問ですが、松本さんはここでどんな風に暮らしているんですか?」

松本さん「今日なんかは、朝から蕎麦打ちと薪割り。今は農業はシーズンオフだから、日頃は残務整理や来年の米作りに向けての準備。大体12 月から3月の初めまでは農業は休みなんですよ。その期間に何をするかが課題で、僕はこういう建物を冬の間に造って、春に建ててこつこつと仕上げていく、そういう年間のサイクルですね」

  • この小屋も全て松本さん達の手作り。木造の風合いも良く、構造もしっかりしています。
  • 段々畑が続く道の向こうにも、農地と森が広がっています。
  • 紅葉で色づく山々も[どっぽ村]のフィールドだそうです。
  • 自然の中で独力で暮らす、そのままの生活のカタチが[どっぽ村]にはありました。

そんな松本さんの話を聞いていると、目の前の仕事のことで頭がいっぱいな現実からは遠く離れて、時間の流れ方の違いを感じました。もし自分が[どっぽ村]にやって来たなら...、そして10 年後、20 年後は...と、みんなそれぞれ想像したようです。

農事組合法人 大戸洞舎(おどふらしゃ)

滋賀県東浅井郡湖北町上山田881
TEL/0749-78-2164
「蕎麦の会」は2,500 円~(予約制)
http://www.eonet.ne.jp/~osendosan/

上山田どっぽ村

滋賀県東浅井郡湖北町上山田880
http://doppo.jpn.org

後列右端が[大戸洞舎]代表の松本茂夫さん。隣が松本さんの娘さんの菜々子さんのご主人、小障子正喜さん。前列右端が松本さんの奥さまの富子さん。中央が、川西さんのお友達の猪田一子さん。左が松本さんの娘さんの菜々子さん。

果樹農園でとびきり美味しいスムージーを堪能。

[どっぽ村]に続いて訪ねたのは、家倉さんと同世代の農家仲間、西橋剛さんの農園。お米の他に、イチゴをメインに、イチジクやレモンなどの果樹をビニールハウスで栽培している農家です。お米だけでなく、果樹も、となると一年間さぞかし多忙では? と訊いてると...。

西橋さん「そうですね、忙しく無い時期の方が限られています。一番忙しいのは3月下旬から5月のイチゴの収穫時期。うちはイチゴ狩りもやってますから。田植えがあって、今年はさくらんぼも栽培して...」

「両方ってやっぱり大変そう。西橋さんは米も果樹もどっちも携わっているんですか?」

西橋さん「全部やってますが、イチジクは僕一人でかかりっきりでしたね。7月からイチジクの収穫で毎日休めんのですよ。それが10 月まで続いて、ちょうど今ぐらいがちょっと落ち着いている時期です」

「収穫は土日もないですもんね。遊びにいけませんね」

家倉さん「スノーボードに行く頃が忙しく無い時期かな?(笑)」

ここで、今年収穫したイチゴを冷凍したものを使って、スムージーを作って頂きました。イチゴだけでなく、生のイチジクを入れるところがポイント。イチゴもイチジクも甘みたっぷりなので、砂糖を入れなくても充分です。この日はヨーグルトと、牛乳の変わりに豆乳を使って栄養価もアップ。これらをミキサーで混ぜるだけ。とても簡単です。

西橋さん「イチゴは冷凍しても甘いです。どうぞそのまま食べてみて下さい。見た目が悪いとか、売り物にならんものを冷凍するので、それが多いってことはあまりよくないんですけどね。どうぞ飲んでみて下さい」

「めちゃくちゃおいしいです! これ、売ってはいないんですよね」

西橋さん「売ってないですね。売れますかね?」

「例えば夏のイベントとかに出すと、売れると思いますよ。それに最近では見た目が悪い野菜も、割安で人気がありますしね」

西橋さん「なるほど。冷凍イチゴ、売ろうかなぁ...」

続いてイチゴのビニールハウスへ案内してもらいました。
『章姫』という酸味が少ないイチゴで、滋賀では最も多い品種を栽培しています。イチゴのハウスが8棟、ほかにレモンやイチジクのハウスもあります。イチゴはベンチアップという方式で脚がついた腰ぐらいの高さの棚にずらっと植えてあります。そこに苗を植える体験もさせてもらいました。外に実が垂れるよう、向きを揃えます。

西橋さん「水が自動的にチューブから1日2回出るようになっています。棚から落ちた水はタンクに戻して、また再利用するようにしています。ささやかですが、琵琶湖に対する環境保全です」

「ビニールハウスの農業で苦労するところってどんなところですか?」

西橋さん「台風が恐い! ハウスがゴロンと倒れてしまうんです。何年か前に台風でハウスが倒れてしまったことがあって、それはもう大変でした。あとは原因不明の苗の病気ですね。栽培のベテランでも関係なく苗の病気にはかかりますから。どうしようもないんです。そういう意味でも毎年1年生の気持ちでやっています」

  • [西橋農園]では、お米の他に、イチゴやイチジク、レモンなど、様々な果樹を栽培。3月末~5月中旬にはイチゴ狩りもできます。
  • ビニールハウスの中に並ぶイチゴ。イチゴの収穫は12月~5月にかけて。
  • この白い花はイチゴの花。花が咲いた後にイチゴの実がなります。
  • たわわに実っているのは「不知火(しらぬひ」という品種名の柑橘類。
  • 冷凍したイチゴにヨーグルト、そして生のイチジクを入れてミキサーにかければ、スムージーの出来上がり。
  • イチジクを食べて思わずうまっ! 左に映っているのは写真家のMOTOKOさん。
  • イチゴのビニールハウスで苗を植えさせてもらいました。簡単そうに見えて、コツが必要でなかなか難しい。
  • この緑の実はレモン。レモンって、こうして実を付けるって知ってました?

西橋農園

滋賀県長浜市内保町1854
TEL/0749-74-0217
http://www.za.ztv.ne.jp/sf4btus6/

レモン片手に『ザ テレビジョン』♪って・・・。すみません、調子にノリ過ぎちゃいました!

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