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grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

09.07.22

Chapter.2「釣り上げたばかりの新鮮な魚を調理してランチパーティー!」

山田さんのお宅に移動して、漁師友達にも集まってもらって、釣ったばかりの魚でランチパーティーの開催!

船を降りた後は、加太港から車でスグの山田さんのお宅にお伺いしました。
お宅のガレージをお借りしてランチの準備です。
釣り船に乗り込んだ早朝は、雨が降ったり止んだりのいかにも梅雨空な天気でしたが、この頃にはすっかり晴れ上がって、暑いぐらいの日差しに。
山田さんと同じ加太で漁師をされている[泊里丸]の泊里正弘さん、和恵さんご夫妻と[金毘羅丸]の市川勝清さん、佳代子さんご夫妻も参加していただいて、総勢十数名でのにぎやかなランチパーティーになりました。

釣ったばかりの新鮮なアジを捌いていく堀田さん。堀田さんと川西さんのコンビが腕によりを掛けて調理します。

早速、さっき釣った魚を料理。
腕を振るうのはもちろん、前回の川西と能勢の取材の際に豪華なお弁当を準備した[graf dining:fudo]のシェフ堀田さんと川西さんのコンビ。
山田さんのご主人にも魚を捌いて普段食べている魚料理を披露して頂きました。

grafからは[graf dining:fudo]でも使っている、京都の大山崎の"農業士"(にしてgrafのメンバーも参加しているジャグバンド[pug27]のリーダー兼サックスの)小泉伸吾さんの野菜ブランド[ense]の野菜を持参。
まずは釣れたばっかりのアジの新鮮な味わいをそのまま味わおうということで、アジのカルパッチョのサラダを。
プリプリのアジにレモンの酸味と香り高いオリーブオイルがよく合います。
自然と野菜がたっぷり食べられる一品です。

新鮮なアジに野菜の緑とトマトの赤も鮮やかな「アジのカルパッチョのサラダ」。プリプリのアジにオリーブオイルの香りが合います!

アジのカルパッチョに舌鼓を打っている間に、山田さんのご主人にアジを使って一品作って頂きました。
アジの煮物のようですが...。

「おいしそう! これって煮物ですよね?」

アジを濃口醤油と水だけで炊き込んだ「アジの煮物」。味付けはシンプルそのものだけど、魚が新鮮だから美味しい!

彌生さん「アジを濃口醤油と水で15分ぐらい炊いただけなんですよ。魚料理はだいたいお父さん(ご主人)がいつもするんです」

「えっ! 醤油だけ? まさに漁師料理ですね」

彌生さん「みりんとか生姜とか、いろんなものを入れがちだけど、釣りたての魚はこういうシンプルな調理で充分おいしいんです」

「確かに。釣ったばかりで新鮮だから身がはじけてますもんね」

集まって頂いた山田さんの漁師仲間の皆さん。左のお二人が泊里さんご夫妻、右のお二人が市川さんご夫妻。

冨田さん「これ、日本酒とも合いますよ、絶対」

というわけで、冨田さんに持ってきて頂いた[冨田酒造]の銘酒「七本槍」の登場。
日本酒好きの市川さんの奥様も早速試飲。

市川佳代子さん「おいしいですね。飲みやすいので、飲み過ぎてしまいますね(笑)」

さらに山田さんのご主人がアジを捌いて、アジのお刺身やあらいを用意してくれました。
アジは大きいほど臭みがあるので、あらいの方が臭みが取れてさっぱりとした味になるんだとか。

山田さんのご主人に捌いて頂いた「アジの刺身」。釣ったばかりのアジは身がプリプリで歯ごたえも絶品です。
これは「アジのあらい」。さっぱりとした味わいが日本酒との相性抜群! 冨田さんの「七本槍」も旨い!
grafの桝田さんも新鮮なアジのさっぱりとした味わいに笑顔がこぼれます!

次にご主人は、堀田さんが釣り上げた鯛を調理。
内蔵を入れたまま、うろこで蒸し焼きに。
普通に魚焼き器でただ焼いただけだそうですが、表面の焦げ目までおいしそうです。
ホクホクした身は、シンプルに生姜醤油で頂きます。

  • これは、山田さんのご主人に調理して頂いた「アジの生姜焼き」。焼いたアジの身が生姜醤油に合います。
  • 「鯛の蒸し焼き」。鯛をただ焼いただけなのに身がホクホクで、表面の焦げ目も美味しい!

「漁師さんって、いつも昼からはゆっくりなんですか?」

山田さん「そやね、昼から飲むことは最近は滅多にないけど、昔は天気が悪かったら、皆寄って魚持って来て、よく飲んでたなぁ」

「休みは決まってるんですか?」

泊里さん「だいたい週に1日か2日。中央市場が休みの日の前日が休みになる。あとは天候であまりに時化ると漁にはでないね。例えば沖縄に台風が来てると、明日明後日は休めるなって(笑)」

「うわー、まさにこの企画のテーマの『豊かな暮らし』じゃないですか!」

山田さん「経済的にはぜんぜん豊かじゃないけど、精神的には確かに豊かやで(笑)」

続いて、堀田さんが鯛を捌いてアクアパッツァを作ってくれました。
醤油だけで味付けするアジの煮付けほどシンプルではありませんが、こちらもイタリアを代表する家庭料理。『アクアパッツァ』とはそもそも、沸騰した水で魚を煮ることから由来しているように、フライパン一つでできるお手軽料理です。本来は海水を使って煮るんだそう。
魚のうま味がギュッと詰まったスープまで味わい深い一皿です。

和恵さん「これはなかなかここらでは味わえん料理やね」

彌生さん「このトマトは生ですか?」

「ドライトマトとフレッシュトマト、両方使っています。この料理は魚介の豊富な南イタリアならではの家庭料理。白身魚ならなんでもできますし、簡単ですよ。後でレシピをお教えしますね!」

アクアパッツァのスープも絶品でしたが、次に山田さんが出してくれた魚のあらで出汁を取ったお味噌汁もまた「これぞ漁師料理!」な、うなる味でした。
冬に漁から帰って来てこれを飲んだら、身体が温まり疲れも吹っ飛ぶに違いない!
そんな温かみのある家庭の味でした。

「ところでみなさん、何年ぐらい漁師をされてるんですか?」

市川さん「みんなもともとはサラリーマンやったんよ。脱サラして漁師になった。家がもともと漁師やったからね。昔は漁師は大嫌いやったけど、結局ツブシがきいたというか(笑)」

泊里さんは元は土建関係の営業マン、市川さんは農協にお勤めだったそう。家電の営業をしていた山田さんは、なんと最初は脱サラして喫茶店をするつもりだったとか!

山田さん「でも両親に猛反対されまして...。釣りは元々、好きではなかったんやけど、生活していくための手段として、ある意味、仕方なしに22年前、この乗り合い船という商売を始めたんです」

今では皆さん立派な漁師さんです。

  • アジをフライパンで焼いて「アジのアクアパッツァ」を作ります。横のナベではアサリを煮込んでいます。
  • 焼いたアジの上にアサリを敷いて「アジのアクアパッツァ」もうじき完成です! 持参したIH卓上調理器が大活躍。
  • トマトの赤とバジルの緑が鮮やかな「アジのアクアパッツア」。アジのうま味が煮詰まったスープも絶品。

新鮮な魚の美味しいお料理の数々に、箸が進みます。お酒も進んで、昼日中からみんな良い気持ちです。

聞けば、加太の漁師さんの数は年々減ってきているそうです。船の数も20年程前に比べて100隻ぐらいは減って半減したとか。
山田さんたちのお父さんの世代の人達が引退した後、跡を継ぐ若い人がいないのもその原因ですが、やはり輸入や養殖の魚が増えたこと、そして根本的に魚を食べる人が減ったのも理由の一つです。
漁師という仕事はやはり船がありきなので、今乗っている船が壊れてしまったら終わり、という年配の漁師さんも少なくありません。
何しろ船は高級車が一台買えるほどの価格ですから...。

「でも普通にサラリーマンをしていても倒産する時代だから、変な話ですが、漁師さんなら食いっぱぐれはないんじゃないですか?」

泊里さん「ははは。すでに倒産しかけてるようなもんやけどな。山田さんちはここに小さい畑もしてはるし、野菜作って魚釣って、半農半漁やな」

山田さん「もうすぐしたらこのガレージの半分畑になってるかもな(笑)」

「鶏も飼ってたりして!」(全員爆笑)

シメには、野菜盛り沢山のカサレッチのパスタ。残っていたアジの刺身も入れました。

最後は堀田さんが、持って来たトマトソースと野菜を使ってパスタ料理を。
パスタはソースが絡みやすい「カサレッチ」というショートパスタ。少し残っていたアジの刺身も入れました。
みんなもうお腹はいっぱいのはずなのに、見事に完食。

釣ったばかりの新鮮な鯛やアジを堪能して、日本酒やワインも空けて、初夏の日差しが照りつける中、みんな朝が早かったからか、すっかり眠気モードに...。
思わず居眠りしてしまいそうなところを(実際に居眠りしてしまったスタッフも...)
何とか奮い立たせて、後片付けをすませて記念撮影。
「また来させてもらいます!」と約束を交わして、山田さんたちとお別れしました。

[休暇村 紀州加太]の露天風呂から見た加太港の絶景。天気のいい日には、海の向こうに四国が見えることも。

帰りに、絶景露天風呂と人形供養の淡嶋神社に寄り道。

山田さんたちとお別れした後は、まず加太港から車で約10分の標高100mの山頂にある[休暇村 紀州加太]へ。ここは本来、宿泊施設ですが、日帰り入浴も可能で、友ケ島や淡路島など、紀淡海峡が一望できる露天風呂は大絶景。
さすがに朝が早く、すでに集合時間から12時間が経過しており、全員ややお疲れ気味だったところを、お風呂でリフレッシュ。
露天風呂からの文字通りの絶景も堪能できました。

露天風呂でさっぱりした後は、淡嶋神社へ。
「淡髪が伸び続ける人形がある人形供養の神社」と言えば、聞いたことがある人も多いはず。仁徳天皇が社殿を建立したのを開祖とし、ご祭神の少彦名命(すくなひこなのみこと)は医薬の神様で、特に婦人病の回復や安産・子授けなどに御利益があると言われています。
またひな祭りの起源もこの神社からで、毎年3月3日の「雛流し」という雛人形を海に流す神事では、全国から奉納された3万体前後の人形やぬいぐるみが毎年供養されます。 境内に入ると、干支の人形をはじめ、北海道の木彫りの熊、信楽焼の狸の置物など、種類ごとに様々な人形が葬られています。
また宝物殿には、髪が伸び続ける人形や、紀州徳川家奉納の人形などの展示も。

最後は全員でお参りをして、"ちょっと早い夏休み"な加太の一日を締めました。

  • 淡島神社の境内。境内の左右や軒下にも奉納された人形が並んでいます。
  • 境内の軒下には白無垢を着た日本人形がズラリと。夜に来たら怖いかも...。

梅雨時の微妙な天候にも関わらず、運良くたくさんの魚が釣れたこと、山田さんたちとの楽しい一時、そして新鮮で美味しかった魚の料理の数々など、今日一日の感謝の意を込めて...。
また加太を訪れたいと思いながら、帰路につきました。

Fin
(取材/天見真里子)

休暇村 紀州加太

和歌山市深山483
TEL/073-459-0321
日帰り入浴は11:30~15:00(最終受付14:30)
水曜休 入浴料:大人600円
http://www.qkamura.or.jp/kada

淡嶋神社

和歌山市加太118
参拝時間/明朝~21:00(末社~17:00)
宝物殿は10:00~16:00(開館は3~6、10、11月のみ)
月曜休
拝観料:大人300円
http://www.kada.jp/awashima/

grafからのメッセージ

梅雨の微妙な天候の中、決行したちょっと早めの夏休みバージョンの和歌山・加太への取材行。
深夜に集合してみんなで出掛けることなんて滅多に無かったので、かなりテンションの高い一日となりました。

まずは釣り。
船の上での山田さんは無口で、いかにも"海の男"!
特に海の上でのルールみたいなものの説明もなく、いきなり出港。
手取り足取り教えてくれるやり方ではなく、でもサッと竿を手に取り、糸をちょうど良い長さまで巻いてくれたり、釣れている人がいるといつの間にかサポートにまわってくれていたりと、動きに無駄がない!
今回、釣りが初体験のメンバーも多かった我々が思いのほかたくさん釣ることができたのは、まぎれも無く山田さんのおかげ。実に頼りになる存在として先導していただきました。

個人的に最も印象に残ったのは、鯛が引いた時。その手応えは格別でした! 釣りたての魚の色の美しさにも感動しました。釣りをする人間として、料理人として、自分で釣った魚を料理できることはとても幸せなこと。身が締まっていて、包丁を入れた感じが全く違っていたし、スーパーで買った魚みたいに臭いも全然しない。
都会の魚がいかに鮮度が悪いかということを痛感しました。
そして面白かったのが山田さんとの料理の違い。
同じ魚でも山田さんが調理してくれたのは全く違うメニューだったので、僕もとても勉強になりました。

新鮮な魚が当たり前にある食卓、そして海と暮らす山田さんや漁師さんたちの生活スタイルは、都会に暮らす私たちからすると憧れもあるけれど、現実はもちろんそんなに甘くはありません。

毎日の天候や市場に流通する魚の量にも左右されて経済的には不安定だったり、以前、訪ねた滋賀の木之本や、奈良の宇陀・吉野のように、後継者不足だったりと、この時代ならではの厳しい状況があって...。

そんな状況を把握しながらも全てを受け入れ、海の恵みを大事に、ご家族や仲間たちと仲良く暮らしている山田さんたち。
限られた敷地の中でこだわって野菜を作る農業は、どちらかというとストイックな感じを受けますが、海というとてつもなく広く大きな自然が仕事の舞台である漁業は、おおらかで開放的なイメージ。
「精神的には豊かな暮らしやな」という山田さんの言葉こそ、全てを物語っていたように思います。
カッコ良くて、羨ましくて、何だかジーンときました。
そんな山田さんの暮らしは、都会で暮らす私たちには改めて勉強させられることが多くありました。

山田さんご夫妻、泊里さんと市川さんご夫妻と一緒に記念撮影。「またきっと加太に釣りに来ますね!」

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