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grafが近畿2府4県を旅して考えるきれいなくらし

09.05.27

Chapter.2「大宇陀、かつての宇陀松山城の城下町を歩く」

平成18年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された松山地区の街並み

室生からクルマでおよそ30分、大宇陀に到着。
大宇陀の松山地区は、自然に囲まれた室生とはまた違った雰囲気で、古い町家が軒を連ねる重厚な街並み。
それもそのはず、この地はかつて飛鳥時代には「阿騎野(あきの)」と呼ばれた宮廷の狩場であり、柿本人麻呂の万葉歌にも詠まれた歴史ある場所です。
戦国時代には「宇陀三将」と称された国人領主・秋山氏が松山城を築城、そのふもとに栄えた城下町が松山地区の始まりとされています。
やがて城下町から地域経済の中心の商人の町へと発展したこの地区は、平成18年7月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、宇陀松山城跡は国の史跡に指定されました。

  • 左が案内役をお願いした、松山地区環境整備協議会の会長の澤井輝男さん。
  • 澤井さんにご案内頂いて、松山地区の街並みを散策。

ここでの案内人は、この松山地区の環境整備協議会の会長である、地元の林業家・澤井輝雄さん。
この松山地区は、南北に並行する上町通り(松山通り)と下町通りの2本の通りとそれを繋ぐ東西の通りから構成されていて、江戸時代から昭和初期にかけての建築物が建ち並んでいます。松山西口関門(黒門)から、春日神社の参道に至る東西に伸びる本町通は、かつては大手筋と呼ばれて、城下町時代の主要な道でした。町家を始め、社寺建築、土蔵、石碑、門、洋館など、伝統的景観を構成する様々な建造物を説明してもらいつつ、30分ほど松山地区を歩いてみました。同じ町家でも地域の生活様式によって構造に細かい違いがあるのがよく分かります。

  • 江戸期には、地域経済の中心地として栄えた、伝統的な意匠の町家が並ぶ松山地区。
  • かつての宇陀松山城の西口関門(黒門)。

澤井さん「この辺りの家は軒下が低いでしょ。
さらに霧や雨を除けるための『霧袖』と呼ばれるものが軒下に吊り下げられている。軒が低いのは、寒さ暑さを加減するため。
だいたいの家が格子だけで奥まで吹き抜けになっているから、当時は軒を低くして寒さをしのいだんだと思いますよ」

「霧袖まで木でできているんですね」

澤井さん「この辺りは材木が豊富だったからです。だから格子も立派でしょう。
宇陀松山の町家の特徴として、この格子があげられます。
それぞれの商家によって光の取り入れ方の違いがあるから、格子の種類も多くて幅も違うんですよ。基本的に部屋の重要度が高くなるにつれて、格子の精度も上がっていきます」

「そう言われて見てみると、間が均等なものや上部だけ短いものなどいろいろありますね」

  • 松山地区の伝統的な町家は正面に建具が入り、台格子、切子格子、吹き寄せ格子など、様々な仕様の格子が設えてある。
  • 奈良県指定文化財の[山邉屋住宅]は江戸時代後期に建てられたもの。入口左側は台格子が、右側には繊細な千本格子が連なる。

左側の屋根の下にあるのが「袖うだつ」と呼ばれる袖壁。防火の目的で付けられている。

澤井さん「それと、家と家との境目の両端に下がる『袖うだつ』と呼ばれる袖壁もこの辺りの古い町家には必ずあります。これは防火が目的なんです。
隣からの火が来ないように、またこちらからの火を隣に延焼させないためのもの。
当時の家は、軒の裏も全部土壁にぬって、漆喰にしたり、と火災に備えての構造がよく見られます」

「袖うだつは、家紋や模様が入っていたり、単なる火除けのわりに立派ですね。装飾としての機能もあったような感じですね。面白い」

  • 創業慶應二年の[本舗 奈良漬 いせ弥]さん。右側の「酒樽」の看板が年代物の風格を漂わせる。
  • 天保十二年の創業という[平五薬局]。

歩いていると、元は薬屋さんだった町家、油屋さん、醤油屋さん、紙屋さん...とこの辺りが商家町だったことがよく分かります。中でも薬は、かつて宮廷の薬草狩りの地でもあり、大阪の道修町との繋がりがあり、薬問屋の町だったとか。今もこの近くの山では様々な薬草が穫れるそうです。

軒下に杉玉が吊り下げられた[久保本家酒造]。間口が十間半と大きく、黒漆黒の外壁が残る伝統的な町家造り。

上町通を南上すると、酒蔵通に。
大宇陀は水が豊かで昼夜の気温差が激しく、よいお米の取れる、酒造りには理想的な土地で、もとは5軒もの造り酒屋があったそうですが、今は[久保本家酒造][芳村酒造]の2軒に。
この風景、どこかで見たような?
実はこの「grafが近畿2府4件を旅して考える、快適なくらし」の第1回目の取材に訪れた滋賀・木之本にとてもよく似た町並みと雰囲気です。

http://www.eeie.me/voice/graf/vol001/chapter1/

「この宇陀松山って木之本の街並みと似てませんか?」

冨田さん「そうですね。杉玉も吊り下げられていて、雰囲気は似てますね。
実はこの[久保本家酒造]さんの久保さんとは、知り合いなんです。
大宇陀だったとは知りませんでした」

「ええ~っ」

冨田さん「こんにちは。お久しぶりです」

久保順平さん「あれ? 冨田さん。突然でびっくりしました。どうしたんですか?」

冨田さん「今日はたまたま取材に同行させてもらって宇陀に。久保さんとお会いするとは思っていませんでしたので、僕もびっくりしました」

[久保本家酒造]は1702年(元禄15年)の創業。
関西や関東の一流ホテルや料亭などで愛飲されているお酒を造られていて、なかでも「初霞」は広く飲まれています。近年では、天然の乳酸菌によって乳酸を発生させる「生もと造り」による醸造に取り組んでいます。
中でも「睡龍 生もとのどぶ」はしっかりとした旨みとコクがありつつ、キレがよく清涼感のあるお酒で、思わずお土産に買いました。
冨田さんもしばしの再会にお話しも弾んで、盛り上がっていました。

澤井さん「大宇陀には、まだまだ見所がいっぱいあるんですよ。
宮廷の薬草狩りの地だったので、かつては薬造りも盛んで、今も薬草が生えている山が残っていて...。
毎年6月中頃には宇陀川で蛍も鑑賞もできますし、今度は是非ゆっくり来て下さい」

「ありがとうございました」

突然訪れた一行を温かく迎えてくれた[久保本家酒造]の久保順平さん(左)。旧知の仲の滋賀・木之本[冨田酒造]の富田泰伸さんと。

お腹もすいたところで、お昼は薬膳料理の懐石が食べられる大願寺へ。
薬膳と聞くと、体には良さそうだけれど苦かったりクセがあったり...、という料理を想像していましたが、実際には味付けはそんなに濃くないのに、地産の素材の旨みをうまく引き出した濃厚な味わい。
本吉野葛を使ったぷりぷりの刺身やゴマ豆腐、朝鮮人参やドクダミなどの天ぷら、ご飯は黒米と、どれを食べても「何コレ、おいしい!」の連続。
ヤブカンゾウの花、ホウキグサの実、金針菜、ユキノシタ等、中には初めて口にする薬草もたくさんありました。
山でそれらの草を目にしても食べられるとは思わないはずですが、どれも見事に和食の一品として調理されていて、そのおいしさに全員感動。
ボリュームも一杯で、みんな大満足でした。

  • 金柑や銀杏、蕗などを使った前菜や、吉野本葛の胡麻豆腐、ユリ科の花ヤブカンゾウなど、地の食材を取り入れ見た目をきれいな、大願寺の薬草料理。

宇陀松山

奈良県宇陀市大宇陀区拾生

携帯で町家解説が地図が見られます
「阿騎野まちナビ」
http://aknv.city.uda.nara.jp/i

縣(あがた) (澤井輝雄氏)

奈良県宇陀市大宇陀区上本2045
TEL/0745-83-0360
※和喫茶、木材と草花を楽しめます

まちなみギャラリー 石景庵

奈良県宇陀市大宇陀区上1994
TEL/0745-87-2022
10:00~17:00 水曜不定休
※工房街道キットを展示・即売しています

久保本家酒造

奈良県宇陀市大宇陀区出新1834
TEL/0745-83-0036

大願寺

奈良県宇陀市大宇陀区拾生736
TEL/0745-83-0325
(要予約、不定休)

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