1. EEIE HOME
  2. PICK UP
  3. 植物とくらす
  4. 第10回 啓蟄 土を作る生き物たちのこと。

PICK UP ~編集部のおすすめ~

植物とくらす

12.03.28

第10回 啓蟄 土を作る生き物たちのこと。

ベランダや庭のちょっとしたスペースを使って植物を育てたり、野菜づくりをする人が増えてきました。街なかで暮らす人たちにとって、植物のあるくらしはひとつの憧れです。ましてや自分で育てた野菜を食べるなんて、すばらしい体験です。いままでどんなカンタンに育つ植物も枯らし続けてきた編集者が、この春一念発起し、潤いある植物のあるくらしを目指して野菜づくりを始めます。この新連載は植物とともに悪戦苦闘する日々をレポートしていきます。
写真/市川かおり

芽吹きの季節、土づくり開始。

3月に入り、いよいよ春の芽吹きの季節がやってきました。ひと雨ごとに温度が上がり、日差しも強くなっていくのが分かります。3月6日頃は「啓蟄」。蟄とは巣ごもりのことで、土の中で眠っていた虫たちが春雷の音と響きに驚いて、地上に這い出るといわれている時期です。旧暦の2月1日頃を指し、お正月からちょうど1カ月で芽吹きの季節を迎えると昔の人は数えていたのですね。 屋上菜園も今年の野菜作りをいよいよ始動。

よい土を作るために生き物のチカラを借りて。

何度も書いていますが、畑作りの基本は土づくり。11月から進めてきた土づくりの成果はいかに? 堆肥になる落ち葉、籾殻、稲わらや麦わら、雑草、生ゴミや野菜くず、畑の収穫物の残りなどを土に混ぜ込み、ボカシ(米ぬかに乳酸菌などの有用微生物を増殖させたもの)を使って生ゴミの分解を促す土づくりを12月にレポート(植物とくらす 第8回「来年のための土づくり」を参照)しましたが、その続編です。
かけておいたカバーを外すと、プランターの土の表面にはびっしりと白いカビが。冬のあいだ、長い時間をかけて、微生物が生ゴミや落ち葉などを分解し、豊かな土を育んでくれていたサインです。スコップで掘り起こしてみると、土のいい香り。秋に野菜を収穫したときにはくたびれていた様子だった土が、ふわふわの生まれたての土に甦っています。
土を混ぜてみると、元気なミミズやダンゴムシが顔を出しました。よい土ができるためには、微生物や食物だけでなく、生き物のチカラがあってこそ。市川さんからお借りした絵本『土をつくる生きものたち』(岩波書店)の絵の中のような、雑木林の土のなかのような世界が、この小さいプランターにもあるのです。目には見えない小さな小さな生き物のチカラが積み重なり、いい土ができていくことを実感しました。

土の表面の真っ白いものがカビ。混ぜて、またカビを生やしてを数回繰り返すうちに、土が元気に甦ります。
一見硬そうに見えますが、混ぜていくとふわふわの土。空気を含ませるように優しく混ぜていきます。種をまく準備が整いました。
啓蟄を過ぎ、虫たちも元気いっぱい。白い虫はコガネムシの幼虫。ミミズやダンゴムシは、休まずに働いて土を食べ、フンをして葉っぱや野菜くずを土に還す大切な役割を果たしています。

今月の参考図書 「土をつくる生きものたち」(岩波書店)

野山の草木が元気に育つ。肥料をあげていないのになぜ? そのヒミツを探って雑木林を歩いてみると...。生き物たちがチカラを合わせて草木のための土を作る。ミミズやダンゴムシ、モグラやムカデの役割を絵本にして分かりやすく解説。自然、科学、社会の不思議なこと、面白いこと、役に立つことを楽しく解説する岩波書店のロングセラーシリーズ「ちしきのぽけっと」シリーズの1冊。
『土をつくる生きものたち』(岩波書店)1,470円

教えてくれる人
今回のゲスト

造園家 古鍛治達也さん
造園家。植物事務所COCA-Z代表。芦澤竜一建築設計事務所の屋上菜園の指南役。
植物事務所COCA-Zhttp://www2.odn.ne.jp/coca-z/

芦澤竜一建築設計事務所 市川かおりさん
芦澤竜一建築設計事務所のお手伝い。建築写真家。屋上菜園の牽引役。種選びから栽培方法、最後は料理まで引き受けるみんなのお母さん的存在。本連載の写真を担当してくれます。
芦澤竜一建築設計事務所http://www.r-a-architects.com/

習う人
EEIE編集部 北島彩
植物は必ず枯らしてしまう植物音痴。ミミズも虫も触れないけど、おいしい野菜づくりには興味津々。1年間、芦澤竜一建築設計事務所の屋上菜園に弟子入りを決意。

PAGE TOP