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PICK UP ~編集部のおすすめ~

メケメケ☆エレガンス

13.02.27

『64』、『クライマーズ・ハイ』にみる、横山秀夫の魅力

こんにちは、メケメケです。
二月下旬になりましたが、今日も関西では雪が降り、一体いつになったら温かくなるのか、と心配しております。
この原稿が掲載される頃には、少し温かくなっていることを期待しています。

というわけで、気を取り直して、今回のテーマは、横山秀夫さんです!
「あれ、東野圭吾ファンじゃなかったっけ?」というツッコミが聞こえてきそうですね。
そうです。最近なかなか新しい東野圭吾作品が出版されないので、浮気したんです。
「なんや、乗り換えたんやな。」――違います。両方、本命です。

横山秀夫氏は、1957年東京生まれ。
国際商科大学(現 東京国際大学)卒業後、上毛新聞社に入社。
12年間の記者生活を経てフリーライターとなり、以後、サントリーミステリー大賞佳作(1991年、『ルパンの消息』)、松本清張賞(1998年、『陰の季節』)、日本推理作家協会賞・短編部門(2000年、『動機』)を受賞しています。

『クライマーズ・ハイ』【文庫本】

私は、去年、『クライマーズ・ハイ』を読みました。

日航航空機墜落事故という実際に日本で起きた未曽有の大惨事を舞台に、悠木という群馬県地元新聞紙の全権デスクを主人公に、新聞記者としての葛藤、急な病に倒れた登山仲間への想い、息子との壁を描いた傑作でした。

実際に起きた航空機墜落事故についてはあらためて 悲しみ、悔しさ、怒りを感じました。本では、それらは勿論のこと、新聞記者としての事故についての私的な気持ち、他新聞に負けまいとするプライド、文字に表す意地、上司や部下との葛藤が出てきます。
そして、実の息子や 病に倒れた登山仲間の息子への思いも。

一気に読みほし、読んでよかったなあと素直に思いました。
登場人物みんなの色々な思いが胸につまって、温かい風が胸に流れてくる様な感じがしました。

新聞記者の大変さを初めて知らせてくれた本でもありました。
事件事故の現場に行き実際に調査する大変さ、他の新聞社との競争、どの記事を新聞に載せ見出しはどうするか、記事にするには分単位で訪れる時間の期限もある、全権デスクである自分と上司との意見の相違、警察から得られた情報についての真偽、警察からどうやったらいい情報がひきだせるか、新聞にとって資金源となる宣伝の取り上げ方について、いずれも全く知らずに私は生活してきたけれど、どんなに大変なのか分かりました。

日頃 家のポストや売店に、当たり前のように刺さっている新聞。それらは、たくさんの人の汗や苦労の賜物なんやなぁ、と。
そしてそれらは、新聞記者を12年間経た作者だからこそ表現できるものだと思いました。

『クライマーズ・ハイ』は映画化もされています。

『64』【単行本】

先日、本屋さんの入口の、おすすめコーナーのガラス棚に置かれていた、紺色の単行本、それが『64』でした。

ロクヨンと読みます。

―― 一体、何の話なんやろうか?
帯には、『このミス(宝島社「このミステリーがすごい!2013年版」国内編)1位』、『週刊文春(週刊文春「2012年ミステリーベスト10」国内部門)1位』『究極の警察小説完成!』という、よっぽど嫌な理由がなければ買ってしまう文字が躍っています。

――ええ。私も、買いました。
カバーは、山のある町に陽が落ちている上空写真で、カバーを取ると、土地が区割りされた上空写真です。高層マンションや名物タワーなどはなく、すごい都会というわけではなさそうです。

一体、この町に何が起こったのでしょうか?
はじめの頁をめくると、雪の降る赤電話がカラーで描かれていました。何の気もひきませんでした、その時は。
気づけば、没頭して読んでいました。

題名の理由となる、昭和64年に起こった未解決少女誘拐殺人事件を舞台に、刑事部から警務部の広報官に異動させられた三上を主人公に、刑事部と警務部との確執、上司やライバル、部下との葛藤、警察広報部トップとしての新聞記者との信頼関係、そして情報をどう扱うか、本音と建て前、未解決事件への思い、それから 家出して音信不通の娘に対する父としての気持ち。

そして、ラストの信じられない展開。

まさか!という感じで驚きと感動が胸に押し寄せました。
描かれていた 雪の降る赤電話の意味に はたと気づきました。
『クライマーズ・ハイ』を読むまで、警察と新聞記者の関係を知らなかったように、『64』を読むまで、刑事部と警務部の関係を知りませんでした。大事件を舞台に、仕事、家族の間で葛藤する男の話、という点で『クライマーズ・ハイ』と『64』は共通しています。
『64』も映画化されるやろうな、と勝手に予想しています(主役、誰になるかな?)。

読み終えて、中盤の刑事部対警務部の確執が少々長い気もしましたが、ラストの展開が凄すぎたから そう感じてしまうのだろうと思いました。結果として、娘の状況には変化がなかったけれど、すがすがしい気持ちで本を閉じられるのはどうしてでしょうか。三上がとらえ方を変えることができたからかもしれませんね。

短編小説より長編小説が好きな私ですが、東野圭吾作品同様、横山秀夫作品は短編も相当おもしろいです。
機会があれば、また彼の他の作品について、取り上げたいと思います。

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  • リビングライフラボ
about
ペンネーム: メケメケ
職業: しゅふりーライター
主婦もフリーライターも、ビカビカの新一年生。いま自分の中でホットな、クッキング、ムービー。そして、思い入れの深い東野圭吾作品について、独自の視点から紹介していければと思います。よろしくお願いいたします。
PICKUP Index
『永遠の0(ゼロ)』~本と映画から~
東野圭吾最新作!『疾風ロンド』
東野圭吾 『祈りの幕が下りる時』
百田尚樹 『風の中のマリア』
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