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メケメケ☆エレガンス

12.11.21

~誰が、本当の悪人なのか?~映画版『悪人』

こんにちは、ただいま、日本対オマーン戦をテレビで観ているメケメケです。
いきなりですが、私は、自分のことを悪人ではないと思っています。
でも、生まれてから今まで、ずっと悪人でなかったか、というと、そうではなかったと思います。
えっと、私に犯罪歴はありませんよ(笑)
私が言いたいのは、生まれてから今までずっと、"誰にとっても、悪人ではない人"という人は、いないんじゃないかと思います。
洞穴に住み、周りの人とのつながりを一切絶った人間、オオカミに育てられた人間というのを聞いたことがありますが、実際そんな人でないと、有り得ないと思います。

今回は、"誰が、本当の悪人なのか?"という疑問を投げかけた作品、『悪人』について、取り上げたいと思います。

  • 悪人[DVD]
  • 『悪人』ですが、『告白』と同じように、小説を元に映画化されています。
    今からさかのぼること約1か月、前々回のメケメケ☆エレガンスで『告白』について書きましたが、その時の知人との会話で
    私「『告白』見ました。すごかったですわ。松たか子が頑張ってました。」
    知人S「そういえば、その年のアカデミー賞(最優秀主演女優賞)、松たか子やなかったね」
    私「ええ?誰やったんですか?」
    知人S「えー誰やったかなぁ?ああ、『悪人』に出てた、深津絵里やわ」
    ということで、数行を要しましたが、要するに、そこではじめて 最優秀主演女優賞をとった 深津絵里の演技がみてみたくなった、というわけです。
    で、そういえば、本も出てたなぁ、読んでみよう!ということになりました。

本は、文庫のさらに外側に、映画の主演である妻夫木聡と深津絵里のカバーが上巻下巻それぞれにかかっていました。
あらすじを ザッと書きますね。

九州で(残念ながら、舞台は関西ではありません)、保険女子社員が殺害されたが、彼女は殺される直前、約束していた男(祐一)をすっぽかし、他の男(裕福な男子学生)の車に乗り込んでいたが、車内で喧嘩になり山道で強引に蹴り降ろされていたのだった。一方、祐一は、真剣に女子社員に会うためわざわざ他県から来たのだが、女子社員にすっぽかされ、彼女を助けようとしたにもかかわらず 悪態をつかれたため反射的に殺してしまったのだった。
警察に自首しようとする祐一に、事件後に出会った光代は 一緒に逃げよう、と言う。
さて、誰が、本当の悪人なのでしょうか?

悪人 上[特別カバーバージョン] 悪人 下[特別カバーバージョン]

映画は、日本アカデミー賞で、最優秀主演女優賞だけでなく、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、とキャストが賞を総なめ状態でした。
その年のアカデミー賞は『告白』と『悪人』がほぼ二分しているように感じました。
『告白』は 監督賞や脚本賞等で最優秀賞を、『悪人』は 俳優陣が最優秀賞をとっており、両映画作品を観た私としては、非常に納得する結果でした。
特に、殺された保険女子社員の父親役の柄本明、祐一を育てた祖母役の樹木希林の好演が光ってました。いい味出てました~~
お二人が日本の俳優さんでおられることを嬉しく感じました。この二人の演技を観るだけでも十分価値のある作品です。

映画で、ツッコミたかった点が二点。
まず、本では、祐一と逃げる光代も、殺される保険女子社員も、どちらも野暮ったい印象でしたが、映画では、二人とも とてもかわいかったです。
それから、殺された女子社員を寂しい山道で蹴って車から降ろした、非情な男子学生役の岡田将生。
『告白』でも、クラスに新しく来た男性熱血教師で、完全に一人カラ回りしている役だったので、「素晴らしい両作品に出演されて、最近いろんな映画にも出て活躍していて凄いけど、非情な男子学生とか熱血カラ回り教師とか ちょっとかわいそう(笑)」

本と映画とで、少し異なる部分があります。
本にある、祐一が母親や光代にとって"悪人"になる理由として、「どちらも被害者にはなれない」というかなり重要と思われる部分が 映画では残念ながらありませんでした。
また、エンディングでの 祐一に対する光代の気持ちですが、本の方が、"悪人"と思っているように感じました。

じゃあ一体、誰が、本当の悪人なんでしょうか?
私は、本を読んで、車から蹴って降ろした非情な男子学生の行為に腹が立ち、また、殺害された女子社員の軽さ・誠意のなさにも腹が立ち、本当の悪人はこの二人で、祐一ではないんじゃないか、と当初思いました。
でも、いやいや、やっぱり祐一は悪人だと思い直しました。
殺人ですから。どんな理由があったにしろ、彼は悪人です。
男子学生や保険女子社員も、悪人だとは思いますが、順位をつけるなら、祐一が一番悪人になってしまうと思います。

この作品から、他にも色々なことを感じました。
悪人にも色々いて、法に罰されない悪人もいるということ。
女子社員が家族にとってはとても大切な人であったように、悪人も立場が違えば悪人ではないこともあること。
それぞれ立場は違えど、祐一の祖母と女子社員の父がみせた、絶望から立ち上がる強さ。
特に、女子社員の父の言葉が心に残りました。
「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。失うものもなければ、欲しいものもない。だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ」
まだの方は是非、キャストが日本アカデミー賞を総なめにしたこの映画『悪人』、一度ごらんになってください!

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  • リビングライフラボ
about
ペンネーム: メケメケ
職業: しゅふりーライター
主婦もフリーライターも、ビカビカの新一年生。いま自分の中でホットな、クッキング、ムービー。そして、思い入れの深い東野圭吾作品について、独自の視点から紹介していければと思います。よろしくお願いいたします。
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