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PICK UP ~編集部のおすすめ~

おうちカルチャー

11.12.07

映画に見る、食のお作法。

今月のお題は「食まわり」。食にはお作法というものがつきものです。家族のルールがある鍋モノだったり、マニア視点の食べ方ルール。はたまた一緒に食卓を囲む人間は(心の)家族である、というのもひとつのルール。いろんなお作法を、映画からみていきましょう。

『理想のスキヤキ』(『世にも奇妙な物語 2009秋の特別編』収録(ポニーキャニオン)3,990円

家の味、家の流儀。

『理想のスキヤキ』

鍋モノは具材から食べ方などその家の流儀があるものですが、とりわけ関西・関東の土地柄でもすでに異なるスキヤキとなると"俺ルール"が出来上がっちゃってる人も多いかも?生卵をかき混ぜる回数は9往復半が好ましい、肉にも豆腐にも決められた配置場所がある、というスキヤキの鉄則を持つ主人公(伊藤淳史)は、ある食事の席でヤキモキしていた。彼女の家に呼ばれた彼、実は両親に結婚の申し込みに来たのだ。彼にとっては許されざる具材・エリンギ、肉ばかり食べる「スキヤキ素人」の母親。そして器に残っていた生卵を彼女一家が鍋に投入する様を見て、彼は結婚の取りやめすら脳裏によぎらせるのだが、鍋のフィナーレに待っていたのはとても奇妙な具材で...。ニコニコ動画には、その得体の知れない"謎のシメ"を勇敢にも作る者まで現れた傑作です。

『『タンポポ』ブルーレイ版(東宝)4,935円

聞くだけでヨダレ、なラーメンお作法。

『タンポポ』

ラーメン歴40年の老人が指南するラーメンの正しい食べ方。「脂に濡れて光るシナチク、浮きつ沈みつしている輪切りの葱たち」など丼なる額に入れられた材料を、まず最初はしみじみと鑑賞する。そして焼き豚は右後方に配置を変え、「後でね...」と詫びるがごとく優しくつぶやくのだ―。そんな小説を読み上げていてたまらずラーメン店に飛び入るグルメ極道なタンクローリーの運転手(山崎努&渡辺謙)が、女主人のその店を行列店へと変えようと奮闘する物語。それが主軸ではあるのだけど、本筋とは関係ない"食"のエピソードも挿入。自然食で育つ子供が食べる着色料で染まる背徳のソフトクリームの味などいわば食=欲望の話が散りばめられるんだけど、エンドロールに流れるは、人間が産まれて初めて口にする食べ物=母乳を吸う子供の姿というのが、すばらしい。

『オカンの嫁入り』(東映)4,935円

家族の食卓は、他人はいるべからず!

『オカンの嫁入り』

深夜の3時過ぎ、酔っ払って帰宅したオカンが「お土産~」とひっさげて来たのは、若い金髪リーゼントの男...。元板前だという男・研ちゃんは、食卓という家族の絶対聖域にズカズカと足を踏み入れ、翌朝はダシ巻き卵と味噌汁の正統朝ごはんを、晩は土鍋の鯛めしやタラの芽てんぷらを振る舞い、オカンの娘・月子のご機嫌を伺おうとするが、彼女は一口も食べない。天然の研ちゃんは良かれと思った行為だが、愛犬・ハチにまで勝手に味噌汁かけごはんを与えるんだから辛抱なりませんよ。さて、同性でも異性でもひとつの鍋をつつくことは心の距離が近い証になるけれど、大阪物語な本作では、少し打ち解けつつある二人は一枚のお好み焼きをつつくという浪花節。友近主演作品『酒井家のしあわせ』でも食卓にこだわる呉美保監督らしいアプローチです。

廣田彩香/フリーライター

廣田彩香/フリーライター

その昔、友人のお宅で焼肉をよばれたとき、輪切りのジャガイモを焼くことに衝撃を覚えて(焼肉のタレに合う!)廣田家に輸入したことがあります。『タンポポ』のアイシャドーを塗った役所広司がエロティック! 血が一滴が垂れた生牡蠣を海女である少女の手から食べるシーンの意味を大人になって知り、頬を赤らめたものです。

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