
10.08.04
今回のテーマは「自転車」。モダンチョキチョキズの歌で「自転車に乗って」という名曲もありますが、さて、映画も爽やかなメンツ揃いです。恋人とイチャイチャ、の『ハルフウェイ』『人のセックスを笑うな』から、自転車でくるくるばったんタイムリープの06年・アニメ版『時をかける少女』まで。なんせ雲ひとつない青空な青春に指をくわえます。
『時をかける少女』通常版(角川映画)4.935円
実験室でラベンダーの香りを嗅いだのが理由でタイムリープしてしまう、という原作&それを基にした83年の映画を、アニメ監督・細田守が大胆アレンジ。「おもいっきり助走をつけてジャンプすると時間跳躍できる」ということで自転車もその装置として活躍するのです。スピードを上げて坂を下る自転車から人が宙に放り出される...、そのアニメーションならではの躍動感といったら。息を吹き込まれたかのような細田流・身体性のあるアニメには、ほんと大興奮。二人乗りする自転車でおもわぬ告白をされてしまう、なんてTHEがつく青春のヒトコマもあります。それにしても細田監督、劇場映画の監督第2弾『サマーウォーズ』しかり、自転車に乗る少女の描き方が涙がでるほど美しい。映画・ドラマでも散見しますが、自転車=女性が美人に映るなんて法則はあるんでしょうか?
『ハルフウェイ』(発売元:ロックウェルアイズ/販売元:ポニーキャニオン)
4,935円 発売中
(C)2009「ハルフウェイ」製作委員会
「ロンバケ」そして「スナナレ」の脚本家・北川悦吏子が岩井俊二プロデュースで初監督。不治の病やら物騒な事件の不幸が大好物のケータイ小説が人気のこの時代にして、それに反したファットに甘い高校生の純愛劇。炭酸水のような爽やかな恋愛=自転車というわけで、ばんばん登場するのですが、好きな男の子に告白されて驚いて、土手に自転車ごと転げ落ちてしまうくだりなんて、まるでコント。保健室でのハプニングや女性教師と彼氏のやりとりに嫉妬など、ちょっと少女漫画テイストな"ベタ"も盛りだくさんです。特筆するは、相米慎二や岩井俊二の撮影を担当した名カメラマン・篠田昇の愛弟子という角田真一の撮影は、主演二人に照らす光があまりにも美しくて、これまた泣けるほど。こんな発光する恋をしたかったなぁ、とオトナはため息つくのです。
『人のセックスを笑うな』(ハピネット)4,935円 発売中
39歳の女性・ユリに振りまわされる不倫の恋で、哀しき内股ボーイになる19歳のみるめ君。自転車の二人乗りでも、後ろに乗るのは彼。この自転車のシーンがカメラ並走なんじゃなく、自転車とカメラが追い抜いたり追い抜かされたり、自転車がフレームイン・アウトを繰り返す面白い撮影。そんなカメラのゆるやかな動きがとてつもなく気持ちいいのです。ところで監督の井口奈己さんは監督作『犬猫』の取材で、ある女性記者の「ロックでした!」という女子的感想に喜んでいましたが、本作もそんな女子観が詰まっている気がします。例えばストッキングの上からパンツをはいたり無自覚小悪魔だったり、それを「かわいい」と変換するところ。しかしチュッパチャップスを舐めているような、妙に大音量のキスの音は、笑うなと言われても笑ってしまいました...。

廣田彩香/フリーライター
大阪で暮らしをはじめてから自転車が4度盗難に遭いましたので、イジけて自転車に乗るのを諦めた、徒歩ライターです。毎日が"ちい散歩"。自転車が登場する名作といえば、マレーシア人映画監督の故ヤスミン・アフマドの『ムクシン』も甘酸っぱく疾走していて、オススメです。