
10.07.07
今月のテーマは「家飲み」。ド直球で、観れば喉がカラカラ、ビールをプシュッとしたくなるパブロフの犬DVDを集めましたよ。ひとり酒をすする同志。「ひとり酒の哀愁」をアテにおうちで心おきなくヘベレケ、をドウゾ。
『太田和彦のニッポン居酒屋紀行 DVD BOX』(発売元:ジャパンイメージコミュニケーションズ/販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント)12,600円
ごってり煮込んだモツ肉のごとく、もったりと絡みつくように流れるオープニング曲のデイヴ・ブルーベック「TAKE FIVE」。そして丸文字のテロップが出る。「全てのしがらみを離れ、一人でぼんやりする所。それが居酒屋」と。グラフィックデザイナーで居酒屋流浪人の太田和彦さんが、全国の居酒屋で銚子を空ける姿を映すテレビ番組のDVD化。やかましく吟ずることもなくアテを一口・酒をキュッ。そして、仕込みで手を忙しく動かす大将に静かに声をかける。「大将、美味しいね」。なんたらの宝石箱やとモジらなくても、この極上の一言でそのアテがいかに旨いか分かる。「大将、その料理コッチもお願い」と家で独り言を言いそうになる。そんなわけでビールの缶が空けば、パンチパーマに鉢巻のおやっさんがいる近所の居酒屋で駆けつけ熱燗している私です。
『街のあかり』(発売元:株式会社デイライト/販売元:アミューズソフトエンタテインメント) 3,990円
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家呑みは寂しいものです。ならば自分よりも哀しい酒をすする人をアテにする、というのは不謹慎でしょうか。フィンランドの酔怪(ヨーカイ)、映画監督アキ・カウリスマキによる"敗者三部作"の最終章(他二作は『浮雲』『過去のない男』)。起業して成功すると口だけは立派だが、警備会社の同僚からも無視され、パブに行っても透明人間のようにひとり酒を呑む主人公。そんな彼に寄ってくるのは悪い虫。たかってきたのは実はマフィアの情婦で、宝石強盗の罪を被せられ投獄。それでも彼女を愛していると言うヌケた男は、さらに人生奈落の底へ...。もう茶色いお酒を流し込むしかありません、スルメしがむしかありません、というほどの壮絶レベルの負け犬ぶり。でも驚くことにラストカット一瞬で「ハッピーエンド」に着地させるんです。シンプルの極み、神業ですよ。
『チュートリアリズム』(よしもとアール・アンド・シー)3,675円
あの「レタスクラブ」で料理レシピの連載もし、今年ワニブックスから『チュートリアル福田充徳の家呑みレシピ』なるおつまみ本も刊行。そんな家呑み界でグイグイきてる(んか?)福ちゃんですが、06年発売『チュートリアリズム』の特典映像が、タイトルもずばり「福田ひとり酒」。家にカメラを設置して、ひとり晩酌している姿をただ垂れ流すというスペシャルなんかどうなんか...な内容。手際良くアテを数皿作ったものの、酒ばかり呑む福田。クイズ番組の回答を予想して、あえなく外れ、酒を呑む福田。エロ映像観ながらニヤける、千鳥足になる、ソファでご臨終する福田。ひとり酒の滑稽さ・物悲しさが流出した、ある意味、裏ビデオですよ。しかし缶ビールは冷えたグラスにちゃんと移し変えるあたり、ひとり酒に賭けている感じがみなぎってます。......賭けるもん?

廣田彩香/フリーライター
酒場が好きなので基本、家飲みはしませんが、DVDでぬるいホラー観ながら1時間半かけてぬるいビール一缶呑むのは格別。『ハング・オーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(7/3~公開、シネ・リーブル梅田ほか)は、ある意味、酒で失敗しないためにも...のさらし首映画!