
10.06.09
仕事でもプライベートでも行き詰まったりすると、「雨の日が続いたその後は いろいろ流れて大抵 毎回 晴れの日~♪」という歌の歌詞を思い出し口ずさみます。今は雨だから辛いけれど、必ず晴れの日がくるんだ、と思うとちょっと元気になれるんです。そんなわけで今回は、人生雨の日でもいつか晴れの日がくる! と力づけてくれるマンガをご紹介します。
『海街diary1 蝉時雨のやむ頃』吉田秋生(フラワーコミックス)530円
(C)吉田秋生/小学館
鎌倉の古い家に住む三姉妹の元に届いた父親の訃報。三姉妹の両親は彼女たちが小さかった頃、父の借金と女関係で離婚し、2年後母も再婚するとあっさり家を出ていき、祖母と暮らしていたが、その祖母も亡くなりその古い家には三姉妹だけが住んでいる。
香田家の長女・幸は看護師でしっかり者。次女・佳乃は信用金庫勤めで酒と男にだらしないタイプ。三女・千佳は地元のスポーツショップで働く能天気な性格。父の死になんの感情も持てない三姉妹だが父の葬式がある山形へむかう。そこで出会ったのは中学生の"すず"という女の子だった。すずは父が出て行く原因となった女性との間に産まれた子供で、今は父の再婚相手とその連れ子と暮らしていた。すずはどこかしっかり者の幸の面影をもち、葬式中も涙を見せず1人参列者に挨拶をしていた。葬式後、三姉妹はすずに鎌倉で一緒に住まないかと提案、そうして四姉妹になった香田家の家族の絆の物語。唯一の肉親である父を亡くし、血のつながらない家族と暮らすことになったすずに、選択の余地はなかったはず。まさに三姉妹はすずの人生を晴れの日にしてくれた人達。突然姉妹になってすべてがうまくいかないこともあるけれど一緒に成長していく。これは雨の日から晴れの日になった家族のお話です。ゆっくりしっかり四姉妹は確実に晴れの日にむかっていきますよ。
『おのぼり物語』カラスヤサトシ (竹書房)590円
4コマ界の奇行プリンス、漫画家・カラスヤサトシさんが描く、自伝的4コマ作品。大阪でサラリーマンをしていた著者はマンガ一本で生きていこうと、23歳の時に会社を辞めるも連載するはずだった雑誌が休刊。その後軌道にのらず、しばらく勤めた派遣会社も辞めバイトをしていた29歳の時、肺炎で3日入院している間にバイトをクビになり、上京を決意する。
この物語は著者が上京を決めた2002年から2004年春と、番外編の2005年までの出来事が綴られています。上京し東京の片田舎のアパートに住むことになる主人公。漫画の仕事はなく孤独と不安の中、妙なポジティブさで東京暮らしを満喫していきます。電車賃を浮かすため自転車を購入するがことごとくパンク、でもギリギリ得してる! と言い張るが、持っていたジーパンはすべて殉職。そのほか通りを歩く人々の会話に口パクで参加してみたりと様々な奇行が飛び出しますが、やはり常に孤独と不安は隣り合わせ。細々と漫画家活動を続ける著者に後半降りかかるのは父親のガン宣告。物語は漫画家として軌道に乗り始めたあたりで終わります。人生の雨の日をカラスヤサトシさんがどう過ごしてきたか、この人ならきっと晴れの日は近いと思える作品です。ちなみにこの作品、7月には実写映画が公開予定。ほら晴れた!
『椿びより』イシノアヤ(茜新社)650円
(C)イシノアヤ/茜新社
茶柱が立った、なんかちょっといいコトありそう。なんて思ってしまうお姉さんみたいなお兄さん・椿太郎は、カワイイものやキレイなものが大好きなおひとり様男子。そんな草食系の椿は中学時代の同級生・平岩と再会する。しかも偶然公園で仲良くなった幼稚園児の史生ちゃんは平岩の愛娘。偶然が重なり平岩がバツイチとあって自然に平岩親子にとけ込む椿。元々性別なんて関係なく人と付き合うタイプの椿は、平岩親子と一緒に過ごすことをすごく幸せだと感じるようになる。しかしそれを恋だと気が付かず胸が苦しいと病院に行く始末。
そんな他愛もない椿と平岩親子の日常を描いた作品。椿は人生の雨の日を晴れにしてしまうような、そんな男子なんです。例えば、近所の子供たちと遊ぶのが好きで、美味しい料理を作ったり、雨の日にお気に入りレインコートを着て嬉しくなったり、クリスマスにサンタになってプレゼントを配ったり、好きな人と川の字で寝ることにジーンときたり。こんな魅力的な人に出会えたらきっと雨の日も色鮮やかに変わりそうですね。

八木泉(ジュンク堂書店千日前店)/漫画一筋、書店店員。
漫画一筋、書店店員。酒と漫画と男と女、それさえあれば生きていけます。
奥田民生さんの『フロンティアのパイオニア』はすてきソングです、ぜひ!
[ジュンク堂書店千日前店]は相変わらずおもろいフェアと品揃えで皆さまをお待ちしております。