
10.06.02
今月のテーマは「雨」。ですが、空から降るものは雨だけとは限りません。スパイク・リー『ガール6』(96年)では大量の電話機が、ポール・トーマス・アンダーソン『マグノリア』(99年)では旧約聖書を引用して空から蛙が、アフガンを舞台にした『カンダハール』(01年)では赤十字のヘリからパラシュートをつけた義足が地上へ降り...、といった感じ。さて、最近の映画界ではどんなものが空から降っているでしょう?
『ニセ札』(よしもとアール・アンド・シー)5,040円
あれは私が中学3年生の時。目がパチクリした人形顔の親友と道を歩いていると、通り過ぎたトラックから壱萬円札と五千円札がヒラリ...。その可愛い親友への、トラック運転手からの餞別であることは百も承知でしたが、「割り勘やで」とキッチリ申したのでした。さて映画の舞台は、新千円札が発行されたばかりの昭和25年の田舎町。知的障害を持つ息子や、貧しい暮らしに未来が暗い生徒たちのためにと、紙幣偽造に手を染める小学校教師。結局お縄をかけられ、法廷で紙幣偽造は国家の冒涜! と罵倒されるんだが、「お金の価値を決める国家が、国民に正解を与えてるんでしょうかねぇ」と彼女がキツい一言を放った後、法廷にニセ札がバラ撒かれる。そのパチモンの、まるで価値のない紙切れに群がる観衆...。舞う紙幣の前で人間は、なんとも滑稽な行動を取るものです。
『くもりときどきミートボール コレクターズ・エディション』(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント) DVD 3,990円(税込) ブルーレイ&DVD セット 4,980円(税込)
3D公開されたものの、劇場公開の少なさや「子供向けファンタジーアニメでしょ?」の食わず嫌いでノーマークだった人も多かったかもですが、これがガリ勉オタクへの愛に溢れた傑作で! 島民からも鼻つまみにされるダメ発明家が、島の特産・イワシばかり食べることにウンザリする島民に「美味しいものを食べさせてあげたい!」と、水を好きな食べ物に変えられる装置を発明。チーズバーガーを降らし、島全体をアイスの国に替え、ゼリーの城を好きな子にプレゼントし...。オタクの烙印を押されて馬鹿にされた彼は、今や島の人気者ということに涙。しかし「水を食べ物に変える」という反自然的な行為のシッペ返しが、大災害として訪れ...。主人公の成長過程の匙加減も良いし、悪者への制裁も優しくお尻を叩く程度。コメディとして、とても優秀で大好きな映画です。
『007/慰めの報酬』(20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン)3,990円
ダニエル・クレイグにバトンが回った新生ボンドの第2弾。お馴染みのカーチェイスはもちろん、まさか上空で飛行機チェイスまで演じるとは...なんて、驚くのはまだ早い。なんとボンドさん、パラシュートなしで飛行機から飛び降りる! 空中にて敵から奪ったパラシュートが、地面追突スレスレで開いたから良いものの...不死身のスティーヴン・セガールも尻尾巻いて逃げる超人ぶり。そんな感じで、水・陸・空をフル活用した活劇が展開されるど派手な仕上がりに手はビッチョリ。実際、主人公のダニエル・クレイグも生傷が絶えず、顔に8針縫う傷を負い撮影後に美容整形まで受けたそう。ただし、愛する女性を失った前作『カジノロワイヤル』の5分後という設定から始まるので、今回のボンドガールとの"洪水警報"が発令されなかったのは少々残念です。

廣田彩香/フリーライター
もしも願いが叶うなら、日本酒の雨が降って欲しいです。タイトルに"雨"が入っている、という共通点だけですが、ジョニー・トー監督の最新作『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』が、やおい心もむんむんに疼く大傑作! 5/27~Tジョイ京都、5/29~シネ・リーブル梅田で公開中ですよ。