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PICK UP ~編集部のおすすめ~

くらしのしお

12.10.03

空間イメージを伝えるチカラ<イラストで思いや考え方を共有>

ようやく朝晩も涼しくなり、空の雲や虫の鳴き声、ショーウィンドウなどから、秋の気配を感じることができるようになりました。ほっとしたような気持ちになりますね。
今回は、空間イメージを相手にどうやって伝えるか?について、お話しします。

新聞広告の分譲マンションの折り込み広告を見ると、最近手書き風の間取りイメージ図を時折見かけます。あたかも今そこに誰かが住み生活しているような家具が配置されています。一昔前はできるだけ広く見せようという図面が多かったのですが、最近のユーザーニーズに合わせて、「どんな暮らし方ができるのか」を表現していることが多いと思います。

【行動を視覚化する】

私が住宅を含め空間設計を行うときには、必ず手書きのイメージイラストを作成します。
それにより、この部屋はこのように過ごす、このコーナーは光がよく入ってくるというように、図面だけではイメージしにくい「ニュアンス」「雰囲気」も伝えることができます。

これは、ある倉庫をデイサービスセンターにリノベーションをするときに描いたイメージイラストです。
デイサービスセンターは、利用者もそうですが、スタッフ側も計画段階から意見を聞いてどのような使い方ができるのか、雰囲気はどのようになるのかを共有します。
普通の図面だけでは、人間がどう動くのかという行動のイメージはしにくいので、このイメージ図を使ってプレゼンします。

  • 更衣室は座りながらゆったりできるのか?介助者も脱ぎ着を手伝う余裕のある広さとなっているか?
  • トイレまでは距離が短いのももちろんだが、行きやすく、かつ目立つところを避けているか?
  • リビングは居心地がよさそうか?テーブルは利用者にとって使いやすい配置をしているか?
  • 配膳するときのスタッフの動線は?

設計者が理解しているのはあたりまえですが、それがきちんとクライアントに伝わっているかどうかが重要です。

【設計図とイメージ図を両方使う】

昔、こんな失敗をしました。
あるコレクティブハウスを設計したときの話です。
消防法上、居室(リビングなど)と階段室を区画するために、防火戸を設置しました。その防火戸は普段は壁に沿わせて開放したままで、非常時以外閉めません。
図面上は、防火戸として表記し、ドアの軌跡を書き込んでおりました。
しかし、クライアントは、その防火戸を普通に開け閉めする内装ドアと思っていました。
竣工間際になって現場でクライアントから「ここにはドアはつかないのですか?」と指摘されました。

防火戸として壁と一体化したドアを説明したものの、普通のドアがつくと思っていたクライアントと再度検討し、内側にもう一つ、日常に使うドアを追加しました(もちろん消防法上はクリアしています)。
この苦い経験から、「ユーザーがこの空間をどうやって使ってもらうのか?」を常に考え、その使い方が分かるイメージ図を同時に必ず提示することを今もずっと続けています。

【住宅以外での空間プレゼンテーション】

住宅設計のプロセス以外でもこんな事例があります。
下記のイラストはあるイベント会場のイメージ図です。

左は全体イラスト、右はその一部分をアップしたイラストです。
受付や各ブース内でどんな人が、どんなことをするのかをイメージしながら描きます。
「会場がどんな使われ方をするのか。盛り上がるとどんなふうになるのか」その雰囲気、イメージを伝え、イベントの当日まで、これをもとにブラッシュアップされ準備作業が進みます。
このイラストプレゼンテーションは、多くの人が関わるプロセスに欠かせない共有ツールとなります。

また、まちづくり分野でもイラストが重宝されます。
下記のイラストはその一部で、ある都市のまちづくりで使われているパンフレットの表紙です。

地域活動や日常のご近所づきあいを住民に広めていく際、文言にイラストを添えると、どんなまちをめざしていきたいかどうかのイメージを共有する手段となるでしょう。

【相手に伝えたいという気持ちが大切】

少し専門的になりましたが、どんな仕事についても、自分の考えをどう伝えるかについては、日々創意工夫が必要です。
相手と自分との思いが共感できたときの喜びを得られることに感謝しながら、仕事や生活をしていけたら、うれしいですね。

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  • リビングライフラボ
about
山本和代: 住宅建築、グラフィックデザイン等を手がけながら1児の母として、家事、子育てと奮闘しています。
気さくで、おおらかな性格。小さなことから小さな幸せを見つけるのが好きで、毎日を楽しく過ごしています。

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