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KANSAI STYLE 通信 ~家族生活の楽しみ~

15.03.02

●津田なおみの「シネマ・レポート」

「陽だまりハウスでマラソンを」


©2013 Neue Schönhauser Filmproduktion, Universum Film, ARRI Film & TV

映画タイトルから、ほのぼのする作品を想像していたら、いえいえ、なんの。老人ホームに入居している高齢の元マラソンオリンピック選手が、再びフルマラソン制覇を目指すという高揚感溢れる作品でした。そこに人生の苦悩や喜び、家族との絆、高齢者問題など、様々な視点を取り入れ、主人公が風を切る姿に合わせて、映画もゴールへとひた走ります。

1956年のメルボルンオリンピックで金メダリストとなった有名なランナー、パウル(ディーター・ハラーフォルデン)は、妻マーゴ(ターチャ・サイブト)と二人暮らし。明るい日差しが降り注ぐ家で、ゆったりとした余生を過ごしています。ところが、マーゴが病気で倒れ、仕事が忙しく親の面倒を見ることが出来ない一人娘のビルギット(ハイケ・マカッシュ)は心配で仕方ありません。心ならずも二人で老人ホームに入居することに。しかし、70歳を過ぎても至って健康なパウルには、パーティーの為の人形作りや規則だらけのホームの暮らしは窮屈でつまらないのです。そこでパウルは一大決心。再び、フルマラソン完走を目標にランニングをスタートさせるのでした。

主人公のパウルを演じた、ドイツの国民的喜劇俳優ディーター・ハラーフォルデンは本作でドイツ映画主演最優秀賞を最高齢の78歳で受賞。この映画のオフォーを受けてから9キロの減量をして、本格的にマラソンにチャレンジしたそうです。

「七転び八起き」は誰でも知っている諺です。一般的に、何度しくじっても起き上がり、失敗にへこたれずに立ち上がってがんばることと理解されています。 失敗や挫折のない人生などありません。悲しいのは失敗することではなく、失敗したところから何も学ばないことが悲しいのです。失敗から学び、挫折によって鍛えられ、その中に普段見えなかったことを深く洞察する。これが成長の糧となるのです。パウルは走ることによってそれを実践します。若いころは、戦争で走ることに制限がかけられました。戦後、オリンピックで金メダルを手にしてもその栄光は永遠に続くものではなく、年齢を重ねて邪魔者扱いされ、ついには妻が病気になる・・・。それでもパウルは年齢のせいにも周りのせいにもせず、ひたすら走るのです。すると、生きる希望を失っていたホームの入所者たちのなかに、恋の花咲くカップルが誕生し、自分の不幸な環境をすべて親のせいにしていた一人娘の心も変化していきます。たった一人の老人が大きな目標を持ったことが、周りの人物にも影響を与え、希望のシャワーが降りかかるのです。パウルは妻に「わしらは風と海だ」と言います。影響し合いながらも、常に寄り添い合っている。そういう意味に聞こえます。このラブシーンが素晴らしい。とても素敵な夫婦愛の物語でもあるのです。

「陽だまりハウスでマラソンを」 /  http://hidamarihausu.com/

2015年3月21日(土)よりシネ・リーブル梅田 他 全国ロードショー/ 上映時間115分

※この文章の無断での転載、転用はご遠慮ください。


津田なおみ プロフィール

出身地:兵庫県宝塚市
学歴:愛知淑徳大学大学院文化創造研究科 修士課程
趣 味:美術(特に浮世絵)、映画、能鑑賞、ダイエット

シネマパーソナリティー・フリーアナウンサー
関西を中心に、監督や俳優の映画キャンペーン、試写会の司会やコラムなどを執筆。他にも様々な司会、企業アナウンス研修などもこなす日々です。


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