
vol006
11.12.07
一年で最も華やかなクリスマスシーズンの到来です。大阪の本町に昨秋オープンしたホテル、セント レジス ホテル 大阪のイタリア料理[ラ ベデュータ]中東俊文シェフに、クリスマスの夜にふさわしいおもてなし料理を教えていただきました。長時間鍋をかけることなく簡単にできるレシピです。パスタの使い方、焦がしてうまみを引き出すトマトソースなど、本場の秘訣にも目からウロコ。イタリアとフランスで6年修業した中東シェフの味をぜひホームパーティーでお試しください!
1982年、京都府生まれ。02年より、トスカーナ地方、シエナ郊外にある[リストランテ アルノルフォ]、パリの[アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ]などで修業。06年に帰国し、京都のイタリア料理店[プリンツ]にて料理長を務め、10年セント レジス ホテル 大阪オープンに伴い、イタリア料理[ラ ベデュータ]料理長に就任。ビレロイ&ボッホのテーブルウエアを使った1日2組限定「シェフズテーブル」も人気、クッキングクラスの講師なども。
セント レジス ホテル 大阪 イタリア料理「ラ ベデュータ」
大阪市中央区本町3-6-12 電話06-6258-3333
6:30~10:00、11:30~22:00(ブレックファスト6:30~10:00、ランチ11:30~14:30、ディナー17:30~22:00) 無休
http://www.stregisosaka.co.jp/
クリスマスらしく、色鮮やかな、コース仕立ての3品を教えていただきました。短時間の調理でタイミング良くスマートに準備できるのもうれしいポイント。イタリアの豊かな暮らしが伝わる、家庭でもできるおもてなしレシピです。
―中東俊文シェフは18歳でイタリアへ渡って料理の道へ。お父さまは、京都[草喰 なかひがし]のご主人、中東久雄さん。そして、お父さまのご実家は、摘草料理で知られる「美山荘」。子どもの頃から料理が身近だったと思いますが、イタリアを選んだのはどうしてなのですか?
中東シェフ「中学1年の時、イタリア料理店で初めて食べた、タコのアラビアータがきっかけなんです。すごく美味しくて、家で作ってみたらけっこううまく再現できたんですよ。父の料理する姿をずっと見てきて、料理=難しいというイメージが強かったのですが、これをきっかけに料理が楽しくなったんです。イタリアに行くなら好きにしなさいという感じだったので、修業先は語学学校へ通いながらあちこち食べ歩き、美味しい! 働きたい! と思った店に、自分で掛け合いました。南イタリアのトスカーナ地方、シエナ郊外に4年、北イタリアで1年、だしについて勉強したくてパリでも1年修業しました」
―イタリア修業にはそんな背景があったんですね! クリスマスのおもてなし料理をご紹介いただきますが、イタリアはどんなクリスマスでしたか?
中東シェフ「クリスマスは家族が集まって、手料理でお祝いします。パーティで大はしゃぎするというよりも、日本のお正月のようなどこか厳かな雰囲気ですね。レストランもクリスマス休暇になるので、修業中の日本人は友人がいないと寂しいんですけどね(笑)。料理はポトフのような煮込み料理が定番、トスカーナは海辺にあるので魚もよく出ました。それから甘いものを食べますね。クリスマスの伝統的なお菓子がパネットーネ。レーズンやオレンジピールなどドライフルーツを焼き込んだ菓子パンで、毎日少しずつ食べるんです」
―クリスマスの温かな雰囲気が伝わってきました。今回は前菜、メイン、デザートのコース仕立て、魚介とパスタが主役ですね。
中東シェフ「省エネも考慮して、火の通りの早い魚介を使ったおもてなし料理にしました。パスタもひと工夫して、前菜のカッペリーニは魚介の茹で汁を使って茹でます。細麺なので茹で上がるまで4分程度ですみます。メインのラザニアは茹でなくてもOK、野菜の水分があるので乾麺のままオーブンに入れてしまいます」
―下ごしらえして、混ぜ合わせ、冷蔵庫やオーブンに入れて、手順は至ってシンプルですね。テーブルに出す直前に仕上げだけすればいいものばかりなのも嬉しいです。
中東シェフ「おもてなしは時間配分、仕上げのタイミングも大切ですからね。前菜はグラニテを冷凍庫に、カッペリーには冷蔵庫に準備しておけるので、スムーズですよ。ラザニアはタイミングを見計らってオーブンに入れて、ぜひ出来立てをテーブルへ。オーブンで使える厚手の両手鍋、ココットを使うので、ゲストの前に鍋ごと運んで蓋を開けてみてください。きっと歓声が上がりますよ。デザートのカタラーナも、とても簡単。家でもよく作ります。パリッと感が命なので、テーブルに出す直前に表面を炙って仕上げてください」
―メインのラザニアは取り分けると、ソースとブロッコリーが層になって見た目も楽しいですね。
中東シェフ「このココット料理は、もともとイタリアの家庭料理なんです。昔は町にひとつ、共同パン焼き窯があって、前の日に余ったマカロニやリゾットを重ねて入れて、ミサに行っている間にそこで焼いてもらって、家に持って帰ったそうですよ」
中東シェフ「エビやアンチョビ、ラタトゥイユでもおいしくできますよ。イタリア料理でよく使うトマトは和食でいえば昆布、ブラックオリーブは醤油、アンチョビはカツオ。この3つがひとつになってイタリア料理のうまみが生まれます。カニ身のトマトソースは、鍋が焦げるくらい煮詰めるのがポイント。焦げ味をおいしいと感じるのは、イタリアと日本の共通点だと思いますが、やや焦がすことでトマトの味が凝縮し、上品に仕上がります」
―なるほど、和食のセオリーと通じるものがあるんですね。ワイン、EXVオリーブオイル、ワインビネガーなど、今回使われたイタリア食材も気になります。
中東シェフ「すべて実際にレストランで使っているものです。ワインはスプマンテが有名なロンバルディア州のカ・デル・ボスコ。今回の料理には甘いものより、キリッとした白ワインが合います。ミネラル感があって美味しい、おすすめのシャルドネです。アルドイノ社のEXVオリーブオイルはクセがないのでどんな料理にも使えて重宝しますよ。G・ジュスティ社の白ワインビネガーはちょっと酸味がほしいときに。小麦粉と混ぜて鍋を磨くのにも使っていますね。風味をしっかり出したいときは赤ワインビネガーで。前菜で使うポメリーマスタードは酸味、辛みがとてもまろやかで、ほかのものには代えられないですね」
「レストランでは、ピレロイ&ボッホの器×季節の料理をコラボレーションした、〈シェフズテーブル〉というコースもご用意しています。洗練された魅力的な器にいつも触発されます。前菜はギフトボックスをイメージして蓋ものに、ラザニアは高さのあるモダンなデザインの器に盛り付けて、華やかさを添えました。おもてなしでは、器の力も大きいですよね。おいしい料理と共に、クリスマスらしい華やかな夜を楽しんでください」
セント レジス ホテル 大阪の雰囲気をイメージして、「ナチュラル&クラシック」なテーブルに。今年のクリスマスはナチュラルがトレンド、でもカジュアル過ぎず、おもてなし感は大切に、白を基調にグリーンとシャンパンゴールドをアクセントカラーにしてコーディネートしました。重ねた白い器はビレロイ&ボッホ。1748年フランスで創業、ドイツでつくりあげる老舗ブランドです。センターには生花のリースと、イタリアで手に入れたクリスマスツリーのベル、カトラリーレストにはトナカイのモチーフを。大人っぽく小物でさりげなくクリスマスのエッセンスを散りばめました。
美しい盛り付けと、魚介のうまみで魅了します。
ブラックタイガー・・・8匹
タコ・・・1/4匹
イカ・・・1匹
アサリ・・・250g
トマト・・・6個
カッペリーニ・・・120g
EXVオリーブオイル・・・50cc
ポメリーマスタード・・・適量
赤玉ネギ・・・1/2個
白ワイン・・・30cc
赤ワインビネガー・・・適量
塩コショウ・・・適量
バジル・・・適量
【1】
バットにキッチンペーパーを敷き、細かく切ったトマトを平たく広げて、冷凍庫で凍らす。1時間ほどして凍ったら、フードプロッセサーまたはミキサーでさらに細かくし、冷凍庫で保存しておく。トマトは完熟よりもやや固めのトマトが切りやすくおすすめ。
【2】
殻をむいたエビ、タコ、イカは食べやすいサイズに切る。具材はパスタの形に合わせて切ると食べやすいので、カッペリーニでは細長くカットを。鍋にお湯を沸かし、お湯1Lに対して塩10gと白ワイン10ccを加え、イカ、エビ、タコの順に入れて2分ほど湯がき、流水にさらして粗熱をとったら、氷水に落として冷まし、水気を切ってボウルに取り出しておく。
【3】
軽く潰したニンニク、EXVオリーブオイル25ccを鍋で熱し、アサリを入れて軽く炒め、残りの白ワイン20ccを加えたら鍋に蓋をして酒蒸しにする。アサリが開いたら1分ほど蒸して、アサリを取り出し、煮汁はおいておく。
【4】
【2】にEXVオリーブオイル、ポメリーマスタード、塩コショウをし、【3】の煮汁、20ccを目安に好みで赤ワインビネガーを加えて混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やしておく。
【5】
【3】の湯がき汁を使ってカッペリーニを湯がき、氷水に落とし、キッチンペーパーで水気をとる。出来上がりが水っぽくならないようにカッペリーにはキッチンペーパーで包んでしぼってしっかりと水気を取ること(やりすぎると団子状になるので適度に)。【4】に加えてよく混ぜ、アサリのむき身、スライスした赤玉ねぎを加えて塩コショウをして混ぜ合わせる。
【6】
【5】を器に盛り付けて、上から【1】のグラニテをトッピング。お好みでバジルを添えて。
テーブルから歓声が上がる、アツアツのラザニア。
カニ(ほぐし身)...400g
ブラックオリーブ...80g
ケッパー...50g
ニンニク...1片
ホールトマト...1/2缶
ブロッコリー...2株
アンチョビ...5フィレ
パルメザンチーズ...30g
EXVオリーブオイル...適量
ピュアオリーブオイル...50cc
ラザニア生地...1箱
バター...10g
【1】
厚手の両手鍋ココットに、ピュアオリーブオイル、みじん切りしたニンニクを入れ、キツネ色になるまで炒め、カニのほぐし身、ブラックオリーブ、ケッパーを加えて少し炒めたら、ホールトマトを手で潰しながら入れ、少し焦がしながら、煮詰めて、違う容器に移しておく。鍋底が焦げるくらい、煮詰めることが美味しく仕上げるコツ。トマトのうまみが凝縮される。
【2】
ココットの内側全体にニンニクの断面をこすり付け、続いて、バターをこすり付けておく。
【3】
ブロッコリーは花と軸を分けて、固い軸から順に鍋に入れて湯がき、細かく切る。フライパンにピュアオリーブオイルを入れて火にかけ、アンチョビと軽く潰したニンニクと一緒に軽く炒めて、水分を飛ばし、ピューレのように仕上げる。
【4】
【2】のココットの鍋底から、ラザニア、【1】のソース、ラザニア、【3】のブロッコリー、ラザニア......と、ラザニアで具をサンドするように繰り返し重ねていく。
【5】
【4】のココットを180℃に温めたオーブンに20分入れ、いったん取り出してパルメザンチーズを上からかけ、220℃に温めたオーブンに5分入れる。串をさして火が入ったことを確かめたら、最後にEXVオリーブオイルを適量かける。
焦げ目が美味しい、クリームブリュレの原型。
生クリーム...400g
牛乳...300g
グラニュー糖...80g
卵黄...6個
ラム酒...適量
【1】
全ての材料をボウルに入れて良く混ぜ、耐熱器に移し入れる。泡立てると気泡が入るので、砂糖のじゃりじゃりっとした感じがなくなる程度まで、ムラなく混ぜて。
【2】
水を張ったバットに②の器を入れ、160℃に温めたオーブンに約30分入れる。串をさして出来上がりを確かめ、荒熱をとってから、冷凍庫で冷やし固める。
【3】
上からグラニュー糖をふりかけ、バーナーで炙って表面を焦がしてパリッとさせる。パリッと感が命なのでテーブルに出す直前に。バーナーの代わりに熱したスプーンを使っても。
料理・レシピ制作/中東俊文(ラ ベデュータ)
食器提供/ビレロイ&ボッホ
コーディネート/小川薫(Salon de clover)
取材・文/宮下亜紀 写真/川隅知明