
vol005
11.11.02
串カツや串揚げ、と聞くと「ソース2度漬け禁止!」な庶民的な居酒屋をイメージする人も多いと思いますが、実はここ数年、創作串揚げの店が女性に大人気。旬の野菜をたっぷり使ったヘルシーな串や、彩り鮮やかなソースなど、アイデア満載の串コースは、おもてなし料理としても最適です。今回は、そんな創作串揚げ料理の先駆者的な店でもある北新地[川と山]の店主佐々木隆さんに、パーティーとしても楽しめる創作串揚げメニューをご紹介いただきます。ホットケーキミックスを使った練り衣など、簡単にできる目からウロコの串揚げのポイントは要チェックです!
辻調理専門学校、辻調理技術研究所の日本料理研究過程を卒業後、日本料理の老舗[かが万]で修行。2005年に若冠21歳で北新地に創作串擧げ料理の店[川と山]をオープン。日本料理というジャンルにとらわれない斬新なアイデア串で一躍人気店に。一昨年の11月には、「若い人にもカジュアルに串揚げを楽しんで欲しい」と、南堀江に2号店をオープン。串13種類のおまかせコースは3,500円。今年8年目となる北新地のお店は11月14日に移転リニューアル。
川と山
大阪市北区曽根崎新地1-6-12碇ビル6F 電話06-6346-0020 18:00~翌1:00 (土曜は~23:00)日・祝休
http://www.70s-color.com/kawatoyama.html
家で揚げ物って、面倒だから敬遠している方、多いのでは? でもポイントさえ押さえれば、とても簡単。特に串揚げは、老若男女問わず楽しめる料理です。
―佐々木さんのお店では、食材の組み合わせに驚かされることがよくあります。実は私も、いろいろアイデアのヒントをいただくことが多いんです。今日の串もまた、おでんからトリュフまで幅広いですね!
佐々木さん「どんなものでも幅広くアレンジできるのが、串揚げの良いところ。例えばシチューのような汁物でも、衣さえあれば串に出来ます。衣があるので、天ぷらよりも火入れの速度が遅く、衣の中で蒸していくようなイメージ。だから、表面がカリッ、中はモッチリ、という食感が楽しめるんです」
―今回は串を5種類とおかず1品ですが、まずはどれから?
佐々木さん「トリュフのコロッケから。コース仕立ての場合、インパクトのあるものを最初にお出しします。特におもてなしの場合、高級感ある食材選びも重要なポイントです。黒トリュフはデパートはもちろん、今ではスーパーでも買えますし、意外と値段も高くないので、おすすめです」
―なるほど。ツカミとしては申し分ない食材ですね(笑)。コロッケは、ひと口大よりも少し大きめなんですね。
佐々木さん「それも狙いなんです。ひと口で食べてしまうと、中の具が見られないでしょ。だからサプライズ的な意味も込めて、少し大きめにしています。ふたくちで食べて、中身のビジュアルも楽しんでほしいと」
―すごい! さすがプロ(笑)。続いてはどういう順番で?
佐々木さん「次は素揚げしたカブをベーコンソースでいただく串。ここのポイントは何といってもソース。ベーコンをミキサーでソースにします。カブは黒く焦げるまで揚げるんですが、これは香ばしさを出すためで、ベーコンを炒めてからソースにしてカブはさっと揚げる、という逆パターンでもいいと思います」
―お肉の旨みや魚介の出汁をソースに、ではなくベーコンそのものをミキサーでソースにしてしまう、というのが斬新です。
佐々木さん「ソースの色がサーモンピンクなので、カクテルグラスなどに盛るとキレイですよ。次の串はおでんです。今回は圧力鍋で作りますが、極端な話、コンビニのおでんでもOK。総菜店で買ってきたおかずを串にしたり、家庭料理なのですべて一から、でなくてもいいと思いますよ」
―ひと手間を省くポイントですね。前日のおかずやおせちの残りでもできそう!
佐々木さん「次はこの時期おいしい鯖をキノコのソースで、という旬な食材同士を組み合わせた串です。3種類のキノコをバターと醤油で炒めてから、和風の出汁でとろみを付けます。鯖もキノコもどっちも主張しますが、ケンカせず、よく合います」
―ソースだけでもおいしそうです。
佐々木さん「揚げる素材はシンプルで、ソースに凝るというのがプロの技かもしれませんね。何でもかんでもトンカツソースでは同じ印象になってしまうので。最後はデザート風の変わり串。旬のサツマイモを濃いめのインスタントコーヒーで煮たものを串揚げに。1日寝かすと、よりコーヒーの味がしっかりお芋に染みこんでベターです」
佐々木さん「もちろん甘みはありますが、全ての食材に甘さはあるので、むしろ何でも合うと思います。ホットケーキの粉は、水や牛乳と混ぜると小さな気泡が出来るんですが、これが揚げた時に軽く仕上がるポイントなんです。家で串揚げをする時は、簡単においしく仕上がるので是非試してみて下さい」
―他に揚げる時のポイントはありますか?
佐々木さん「練り衣とパン粉は余ってしまうけれど、ムラなく付けるために多めに準備して下さい。練り衣はたっぷり付けて網に置くなどして、余分な分を落としてからパン粉を付けること。油の温度はご家庭では170℃ぐらい。串を揚げる時にトングを使うと便利ですが、逆さまに持ってしまうと熱い油が垂れて危険! 注意が必要です」
―油の種類はどんなものがいいですか?
佐々木さん「お店では太白ごま油とコーン油と綿実油をブレンドしていますが、家庭ではサラダ油で充分おいしくできます。ただし使い回しはしないこと。もったいないけれど新しい油を使うことが、おいしさと食の安全につながります」
―勉強になります。今回はポイントがいつもより多かったような(笑)。でも難しいことではないので、揚げ物ビギナーの人でも簡単ですね。各自がネタを持ち込んで揚げながら食べる串揚げパーティーとかも楽しそう! やっぱり楽しいですね、串揚げって。
創作串揚げ5種に、おひたしを添えて完成。突き出しですが、さっぱりした一品なので、最後にお出ししても喜ばれそう。野菜だけなく、ちょっと豪華にカニの身を使うのがおもてなしのポイント。ドリンクは佐々木さんが岩手県出身ということで、地酒の「南部美人」をチョイス。ソースは、市販品を選ぶなら、京都のオジカソースの「トンカツソース」やヒガシマルの「京風割烹 白だし」が佐々木さんのおすすめ。ソース代わりの塩は、佐々木さんのお店では沖縄の雪塩を使用。
リボンをモチーフに、串揚げをあえて洋風にまとめたコーディネイトは、ナチュラル&ポップなイメージ。串揚げだけでなく、スペイン料理のピンチョスなど、串を刺す丸い器は国内メーカーのもの。日本酒はちょっとおしゃれにワイングラスで楽しむスタイルです。
おもてなしにぴったりの、黒トリュフの香り豊かなチーズ入りコロッケ。
ジャガイモ(メークイン)・・・2個
黒トリュフ・・・2個
パルメジャーノ・・・20g
塩(ソースの代わりとして)・・・適量
【1】
メークインの皮をむき、乱切りにして約15分ゆでる。火が通ったら、冷ましてマッシュポテトにする。
【2】
黒トリュフは大きめのみじん切りに、パルメジャーノはおろし金でおろす。
【3】
すべてを混ぜ合わせて、丸くして串に刺す。
【4】
練り衣、パン粉を付けて揚げる。
ベーコンソースと香ばしく揚げたカブが絶妙の組み合わせ。
カブ...1個
ベーコン...100g
出汁...200cc
塩コショウ...少々
醤油...小さじ1
葛粉...適量
【1】
カブの皮を厚めにむき、4等分に切る。
【2】
【1】を黒く焦げるまで素揚げする。
【3】
ベーコン、出汁、塩コショウ、醤油をミキサーにいれ、粒々が残らない程度までしっかりと撹拌する。
【4】
【3】を葛粉でとろみをつけ、完成。
いつものおでんを串揚げにアレンジ。
こんにゃく...1/4枚
ちくわ...1本
大根...5cmの輪切り
出汁...500cc
醤油...大さじ5
塩...小さじ1
砂糖...大さじ1
【1】
材料をすべて1/4にカットする。
【2】
調味料を入れ、圧力鍋で約7分煮ておでんを作る。
【3】
それぞれの具材を1本の串に刺す。
【4】
練り衣、パン粉を付けて揚げる。
旬の魚介を3種類のキノコソースで。
鯖...片身
しめじ...1/2パック
椎茸...4個
舞茸...1/2パック
バター...適量
醤油...大さじ1
出汁...200cc
葛粉...適量
【1】
鯖を4等分に切って串に刺す。
【2】
ソースを作る。キノコは、食感が残るぐらいの細かいみじん切りにする。
【3】
フライパンに油を入れて【2】を炒める。バターを入れて、塩コショウ、醤油、出汁を順番に入れ、葛粉でとろみを付ける。
【4】
【1】に練り衣、パン粉を付けて揚げる。
ほんのり甘くてコーヒー風味のデザート串。
小さめのサツマイモ...1本
インスタントコーヒー...大さじ5
砂糖...大さじ5
水...500cc
【1】
サツマイモを5cm幅に切る。
【2】
コーヒーと水を加え弱火で約20分煮る。火を止めて、約20分放置。
【3】
コーヒー色になったら、【2】を串に刺す。
【4】
【3】に練り衣、パン粉を付けて揚げる。
ふわふわ山芋のあっさりおひたしは、最後のお料理としても。
ほうれん草...1束
カニの身...100g
山芋...100g
エリンギ...1本
出汁...200cc
塩...小さじ1
醤油...小さじ2
酒...少々
【1】
エリンギとほうれん草はさっとゆがき氷水にさらす。
【2】
【1】をひと口大に切ったものと、カニの身を味付けした出汁につけておく。
【3】
山芋をすりおろす。
【4】
【3】の上に盛り付けして完成。
練り衣
ホットケーキの粉(市販のもの)...300g
牛乳...380cc
料理・レシピ制作/佐々木隆(川と山)
コーディネート/小川薫(Salon de clover)
取材・文/天見真里子 写真/川隅知明