
vol004
11.10.05
食欲の秋が到来! 新米から秋野菜、桃や栗などの果物まで、いわゆる実りの秋は食卓が一段と華やぐ季節でもあります。今回は、まさに秋が旬の食材を使ったおもてなしの中国料理を、西天満の中国茶館[無茶空茶]の茶事監修をされている黄安希さんに教えていただきます。中国茶を使った炊き込みご飯や、中国では秋の風物詩である上海蟹のせいろ蒸しなど、秋においしい食材だからこそ、ちょっと贅沢にみんなで楽しみたいメニューばかり。もちろん料理に合う中国茶も欠かせません!
中国茶をめぐる暮らしと喫茶の現場を求めて、北京、上海、香港、台湾、シンガポールに渡航、研究。西天満にある明治末期の日本家屋を使った中国茶館[無茶空茶]で、中国茶教室を持つほか、アサヒビール大山崎荘美術館での季節の茶会など、イベントも定期的に開催。[無茶空茶]で毎月開催される満月会では、ジャンルにとらわれない創作料理とおすすめの中国茶を提供。中国茶を通して季節の暮らしと現代のお茶事を提案する、中国茶のスペシャリスト。
中国茶館 無茶空茶
大阪市北区西天満3-9-12 電話06-6361-6910 12:00~19:00 日・祝休
http://www.muchakucha.net/
中国茶と実りの秋の中国料理。このテーマだけ聞くと、なかなか一般のご家庭ではできないスペシャル感があるおもてなし料理と感じるかもしれません。でも手順や道具は一般的、素材も入手困難なものではありません。ソースや乾物のスープなどは応用もできるので、ぜひ覚えておきたい献立です。
―中国でもやはり実りの秋、なんですね。でも今日のお料理のメインは魚介ですね。
黄さん 「そうなんです。日本でカニといえば冬ですが、上海ガニは秋が旬。年に一度のシーズンですから、少し贅沢にたっぷりの魚介蒸し料理をメインにしました。そして新米は土鍋を使って、栗と地鶏の炊き込みご飯に。もう一品は根菜と干し貝柱などの乾物を使った蒸しスープ料理。順番としては、まず炊き込みご飯の準備をして火に掛け、その間に蒸し料理2品を作ります。魚介はソース作りのみであとは蒸すだけなので、とても簡単。実際のおもてなしの席では、魚介を食べる間に、ご飯と蒸し料理を並行して作るのがいいと思います」
―ではまず炊き込みご飯からですね。ここで使う岩茶は中国でも希少なお茶なんですよね?
黄さん 「中国福建省北部の武夷山の岩肌に生育している烏龍茶の一種です。体を温める効果があるお茶で、今回は出汁代わりに使います。ほんのりお茶の風味が残り、香りも良いですよ」
―具材はシンプルに鶏と栗のみ!栗は天津甘栗でいいんですね。
黄さん 「新栗でももちろん構いませんが、天津甘栗を使うと簡単で、この甘みがご飯に合うんです。鶏は紹興酒や醤油などにマリネして、下味を付けたモモ肉。大きめにカットするので、お肉料理並みのボリュームがあるご飯です。土鍋ごと食卓に出すのも楽しい演出です」
―かぶらと青梗菜のせいろ蒸しは乾物をたくさん使いますね。
黄さん 「干し貝柱、干しシイタケ、ナツメを使います。これらを戻した汁にはたっぷりのエキスが出ていて、合わさると、ふくふくした美味しさ!これらをそのまま捨てずにスープとして使います。魚介に合わせる野菜料理としてだけでなく、ご飯を食べる時の汁物の役割も兼ねることができるスープ蒸し料理。お腹も心も温まりますよ」
―戻し汁って、入れるだけでグンとうま味が出て万能ですよね。スープにもなるっていうところが手軽です。そして魚介のせいろ蒸し。簡単だけど豪華ですよね。
黄さん 「今回は残念ながら上海ガニが手に入らなかったので、ワタリガニで代用します。カニ以外にも、車エビやタラなどの白身魚を用いても、大変おいしく風味良くできます。ソースは、黒酢を使った伝統的な上海ガニのタレと、刻んだタラゴンと混ぜたマヨネーズ系、中国山椒の花椒とラー油を入れたピリ辛系の3種類。いずれも混ぜるだけなので簡単です」
―菊の花を入れて蒸すというのは、中国でもよく使われる調理法ですか?
黄さん 「いいえ、菊の花はお茶に入れて飲むことはありますが、食べる習慣はありません。これは私のオリジナルなんです。上海ガニは少し臭みがあるので、今回入れた菊花やバジルが、それを取ってくれる役割もあります」
―そうなんですね!菊花は見た目も華やかなのでおもてなし料理にぴったりですね。
―今回は、黄先生のご専門、中国茶との組み合わせです。今回のお料理に合わせて頂くお茶ですが、なんとコーラを使うんですね!
黄さん 「以前広東のレストランで飲んで、おいしいのでレシピを教えてもらったお茶です。魚介は体を冷やすため、昔から中国ではショウガ入りの甘いお茶が添えられていました。すり下ろしたショウガを入れたコーラを煮立たせ、プーアール茶と混ぜるだけ。見た目も真っ黒で甘くてスパイシー、パンチの効いた味です。食中茶としてどうぞ。そして手づかみで魚介を頬張った後に手を洗うフィンガーボールとして、茉莉花茶をご用意。昔中国の女性は、茉莉花茶で体を拭いたり、飲む以外にも用いていたんです」
―茉莉花茶は香りが良いですから、アロマ的な使い方もされていたんですね。デザートもすごく簡単ですね。
黄さん 「はい、盛り付けるだけ!おぼろ豆腐に黒蜜を掛けると、素朴なプリンのような風味に。ヘルシーでお腹いっぱいでもスルッと入ります」
菊花を料理に使うということで、お花も菊、お皿も菊柄に。この菊のお皿は昭和40年代のアンティーク。黒いグラスやパープルのクロスで全体を引き締め、カラシ色やゴールドをアクセントカラーとして効かせています。和・洋・中のいろんな要素を取り入れたクロスオーバースタイル。黄先生の凛としたイメージを、大人っぽく表現してみました。
大きめの地鶏がボリュームたっぷりの中国茶風味ご飯。
お米(できれば新米)・・・3合
地鶏モモ肉・・・大2枚(約300g)
天津甘栗・・・約120g(皮をむいたもの)
岩茶・・・10g
水・・・600ml
紹興酒・・・大さじ2
みりん・・・大さじ2.5
醤油・・・大さじ2.5
ごま油・・・大さじ1
塩・・・少々
(トッピングとして)
塩卵(アヒルの塩漬け卵)の黄身・・・2個分
※固ゆで卵の黄味でも代用可
松の実、香菜・・・各お好みで適量
【1】
米は洗って炊く1時間前にザルにあげておく。
【2】
鶏肉は大きめに切り、フォークで穴を開け、紹興酒、みりん、醤油、ごま油で下味を付け、手で揉み1時間ほど寝かしておく。
【3】
【2】を軽く焼き色を付ける程度にフライパンで焼く。
【4】
土鍋に米を入れ、上に鶏肉を表裏交互にのせ、栗を入れる。この時、米にごま油(分量外)を少し混ぜておくと、炊きあがりにツヤが出る。作っておいた岩茶で水加減をし、約15分炊く。はじめは強火で、煮立ったら蓋をして中火にする。
【5】
炊きあがり間際に再度岩茶をカップ1杯注ぎ、フタをして10分蒸らす。
【6】
仕上げに、塩卵の黄味をくずしたものと、松の実、香菜をトッピング。
スープもおいしいヘルシーな野菜蒸し料理です。
カブラ・・・4個
青梗菜・・・4束
貝柱・・・8個(150ccの水で戻す)
干しシイタケ・・・4枚(150ccの水で戻す)
ナツメ・・・8個
ショウガ・・・1片
クコの実・・・少々
鶏ガラスープ・・・500cc
塩・・・少々
片栗粉・・・少々
香菜・・・適量
【1】
干しシイタケ、ナツメは水で戻し、青梗菜はサッと下ゆでしておく。
【2】
カブラは皮をむいて下ゆでし、真ん中をくりぬいて干し貝柱を入れる。
【3】
大きめのせいろにはまるサイズの浅い器に【2】を並べ、半分に切ったシイタケ、ナツメ、大きめに切ったショウガを隙間に置き、クコの実を散らす。
【4】
上からそれぞれの戻し汁と鶏ガラスープを混ぜたものをひたひたに入れ、塩で味を調えて約15分蒸す。
【5】
蒸し上がったら、器に盛り、青梗菜を周りにきれいに並べる。
【6】
【4】のスープの残りに、片栗粉でとろみを付けて、【5】に掛ける。
【7】
さらに残った【6】は温めて塩とこしょうで味を調節し、好みで香菜を散らし、スープに仕立てる。
上海ガニと魚介の香味蒸しを3種類のソースで
上海ガニ(またはワタリガニ)・・・2杯
車エビ・・・14~16匹
菊花・・・80g(大きいほうは山形産のもってのほか、小さいほうは淡路産の小菊を使用)
バジル・・・20g

〈タラゴン風味のマヨネーズ〉
マヨネーズ・・・50g/フレンチタラゴン(エストラゴン)・・・2枝/EXVオリーブオイル・・・大さじ1/パプリカ粉・・・適量
〈鎮江黒酢にショウガのソース〉
黒酢...100cc/ショウガのみじん切り...大さじ2
〈紅油四川ソース〉
黒酢・・・15cc/醤油・・・100cc/紹興酒・・・15cc/砂糖・・・100g/ラー油・・・大さじ1/花椒・・・小さじ1/月桂樹・・・1枚/ニンニク・・・1片/丁字・・・2個/八角・・・1個
【1】
大きめのせいろに魚介を彩りよく並べ、上からたっぷりの菊花で覆い、バジルもちぎって散らす。
【2】
蒸気のあがった中華鍋にせいろを乗せ、フタをして15分蒸す。
【3】
3種類のソースを作る。
【4】
蒸したての魚介にソースを添える。