
vol002
11.08.03
予想通り猛暑の今夏。夏休みやお盆で人が大勢集うシーズンでもあります。だから今回のおもてなしはみんなで取り分けて楽しむ大皿料理。南船場のイタリアン[ジョヴァノット]の上村和世オーナーシェフが、キンと冷えた白ワインにぴったりのメニューを考えてくれました。いつもよりちょっとおいしくなるアスパラの茹で方や、驚くほど簡単なポーチドエッグの作り方など、日常でも応用できる目からウロコのポイントも忘れずチェックして!
予約が取りにくい南船場の人気イタリアン[ジョヴァノット]オーナーシェフ。大阪のホテルやイタリアンで修業後、イタリアにて星付きレストランなど7店舗で働き、帰国。[マーブル・トレ]シェフを経て2006年待望の独立。毎朝魚の仕入れに市場に通うことはもちろん、自ら生産者のもとに足を運ぶことも多いほど素材へのこだわりは強く、料理工程での扱いも人一倍繊細。ディナーのみの営業で、おまかせは5,250円~。
ジョヴァノット
大阪市中央区 博労町4-2-7 電話 06-6243-5558 17:30~23:00 日曜休&第2月曜休
第2回のおもてなし料理は、[ジョヴァノット]の上村シェフです。イタリアワイン好きとしても知られるシェフらしく、冷えた白ワインに合うメニュー2品とデザートです。
―今回のおもてなし料理のポイントはどんなところですか?
上村シェフ「みんなでワイワイと取り分けて食べる大皿料理です。ドーンと作って、くずして取り分け、ソースで食べます。私が修行していたイタリアでも、食べたいものを好きに取って食べるスタイルのパーティーが多かったです。白ワインはスッキリしたものと香りが良い樽の、タイプが違う2種類をご用意。料理との相性や好みなど、話のネタにもなるでしょう」
―まず、前菜のアスパラガスのミラノ風ですが、これはどのようなお料理でしょう?
上村シェフ「まるまる茹でた白アスパラを、こがしバターとたっぷりのパルメザンチーズ、そしてポーチドエッグの濃厚なソースで食べる一品。アスパラの出汁でうま味を引き出す茹で方と、誰でも失敗しないポーチドエッグの作り方もお教えします。どちらも簡単なので、日常ですぐ応用できると思います」
―メインは私もよく作るアクアパッツァですね。今日はどんなお魚ですか?
上村シェフ「いいのが入りました。今朝木津市場で仕入れた和歌山のガシラです!身がしっかりしていて出汁が出やすいメバルなどの深海魚がおすすめですが、タイやスズキなど白身魚でもOK。アクアパッツァは難しそう、とよく言われますが、ポイントさえ押さえれば本当にカンタンでおいしい一品。ポイントは、魚をゆっくりとムニエルのように香ばしく焼くこと。うま味成分と香り、コクがでます。一匹まるごと使い、おいしい出汁が出たスープで最後ショートパスタを作ります。アクアパッツァは魚の味を楽しんでもらうために、基本的に塩はしません!」
―本当にシェフの料理はどんどんシンプルになりますね。足し算ではなく引き算...。
上村シェフ「旨みについて研究しだすと、より無駄なものをそぎ落としていくようになってきました。火加減や塩加減のバランスで、質感と旨みをどう表現していくか、が最近のテーマです」
―いつも素材にこだわるシェフですが、今回のお料理ではどんな食材をお持ち頂いたんでしょうか?
上村シェフ「さすが薫さん、よくご存知で。今日はまずアスパラの前菜で使うパルメザンチーズ。これはアウリッキオという幻のチーズです。こういうチーズは、この中央の部分が熟成していて最もおいしい。そのままテーブルチーズとして食べます。真ん中の部分はすり下ろして、色が濃い外側の固いところは煮込んだり焼いたりして使います。ちなみにチーズの選び方ですが、こういう白いプツプツが多いのがアミノ酸が多く含まれていておいしいですよ」
―オリーブオイルは私も使っているベローナ産のサルバーニョですね。
上村シェフ「はい。100年以上の有機栽培のオリーブの木から取れたEXV。色もきれいで香り、コクも上質。4種類のオリーブをブレンドしています。私が修行していたミラノ時代からの付き合いなのでもう14年ぐらいこれですね。一度使うとやめられません(笑)」
今回のコーディネートはシェフのお好きな色、赤を取り入れました。清涼感あるシフォン素材のテーブルランナーに、器をはじめナプキンリングやカトラリーレストなど小物もガラスで統一感を出して。
お花は夏でも長く楽しめるデンファレとシンビジウム、どちらもラン科のお花です。
上村シェフのアドバイスでクッキングを予習。
アスパラガス・・・8本(できれば白、なければ緑でも可)
卵・・・3個
パルメザンチーズ・・・適量
バター・・・150g
イタリアンパセリ・・・大さじ1
オリーブ油・・・少々
塩・・・適量
【1】
アスパラガスは下処理をして、アスパラがちょうど浸るぐらいの量の塩水(約1.2%)でボイルする。この時、下処理で削いだ軸の部分を捨てずにボイルする塩水に入れておくと、アスパラの出汁が出てよりおいしくなる。
【2】
ポーチドエッグを作る。小さめカップにラップを敷き、その中に卵を割り落とす。外しやすくするためにオリーブ油をひと回しと味付けのために塩をふたつまみほど掛ける。ラップをねじり巾着にして、そのまま沸騰した湯の中で2分半~3分でできあがり。
【3】
こがしバターを作る。バターをフライパンに入れ、白く泡立ってキツネ色になり始めて、泡が細かくなってきたらイタリアンパセリを掛ける。
【4】
器にアスパラガスとポーチドエッグを盛り付け、上からパルメザンチーズをかけ、【3】のこがしバターをかけてできあがり。
じっくりじっくり焼き上げる上村シェフの真骨頂レシピ。
鮮魚・・・500g(深海魚がベター、または白身魚)
小麦粉・・・適量
オリーブ油・・・少々
アサリ・・・16粒
ムール貝・・・6コ
イタリアンパセリ・・・大さじ2
乾燥トマト・・・20粒
黒、グリーンオリーブ・・・各8コ
ケッパー・・・大さじ1
ローリエ・・・1/2枚
水・・・300ml
【1】
魚はウロコ、エラ、内臓、ヒレを取り、塩水で洗う。水分をキッチンペーパーで丁寧に取っておく。塩を軽く全体にふり、手の平で丁寧に全体なじませる。寝かさずに手でなじませることによってツヤがでる。魚の内側も少し塩でなじませておく。
【2】
魚に小麦粉をつけ、フライパンで焼く。身を手でゆっくりと押さえながら片面ずつ焼き色を付ける。身がふくらんできて、小麦粉がパリパリになり香ばしくなったら、いったん魚を取りだし、余分なオイルはペーパーで吸い取る。
【3】
軽くオリーブ油を入れ、オリーブ、乾燥トマト、ケッパーを加え、パセリを入れて香りを出す。
【4】
強火にしたまま水を入れ、ローリエを加えてからフタをして煮込む。鮮魚の大きさによって時間は変わるが、だいたい200gの魚で約15分程度。アサリとムール貝は火が通りやすいので、できあがる5分前ぐらいに投入。全体に火が通ったら、お皿に盛り付ける。
【5】
ソースの味をコショウとオリーブ油で調整し、再度温め直し、【4】に掛けてできあがり。
やさしい味わいの夏向きデザート。
牛乳・・・180g
ココナッツ・・・30g
グラニュー糖・・・35g
生クリーム・・・100g
ゼラチン・・・4g
バニラビーンズ・・・1/4本
【1】
ゼラチンは水で戻しておく。夏場はゼラチンが傷みやすいので、氷を1個入れておくと良い。バニラビーンズは縦に切り込みを入れ、グラニュー糖にさしておくと香りがより豊かに。
【2】
牛乳とバニラビーンズを鍋に入れて沸かし、火を止めてココナッツを加え、フタをして5分ほどおく。
【3】
生クリームを7分立てにする。混ぜた時にクリームの表面に軽く線がつく程度でOK。
【4】
【2】をこし、再び鍋に入れ、グラニュー糖を加えて沸騰直前で火を止める。【1】のゼラチンを加えて余熱で混ぜながら溶かす(ゼラチンが溶けにくい場合はもう一度こす)
【5】
【4】を氷水でとろみが付くまで冷やす。生クリームと同じぐらいの柔らかさにする。
【6】
【3】の生クリームを混ぜ合わせて、器に移して冷蔵庫で30分以上冷やす。
こうやって大皿から取り分けていただく料理は、食欲が湧きますね。それにワインも進みます。シェフがおっしゃるように、違うタイプの白ワインと一緒にいただくと、相性や味の好みなど、料理の話題が尽きませんね。今回は、アスパラガスのミラノ風に合わせて、樽の香りがしっかりするフォンタナフレッダ/アンペリオ ランゲ・シャルドネ(参考上代 750ml 2,500円)を。シャルドネを小樽熟成で仕上げた北イタリア・ピエモンテ産のワイン。フルーティーさの中にバニラ香もあり、複雑なアロマが広がる力強いワインです。そしてアクアパッツァに合わせるスッキリ系として、サングレゴリオ/ラクリマ・クリスティ・ビアンコ(参考上代 750ml 2,450円)。「キリストの涙」という名の南イタリアのワイン。完熟した遅摘みのブドウを使うことで長く余韻を楽しめます。